東日本太平洋側で日照不足、低温 米地帯 いもち警戒

 北海道、東北の太平洋側や関東を中心に、日照不足と低温が続いている。例年この時期にはないオホーツク海高気圧が出現し、冷たい風「やませ」が東北や関東に流れ込んでいるためだ。気象庁は、タイ米を輸入した1993年の米の不作時と比べ「それほどの冷夏ではない」と分析するが、東北などではいもち病が発生する危険性が高まっているとして、宮城県や福島県ではJAが対策本部を立ち上げた。8月下旬は平年並みに戻る見込みだが、今後の農作物への影響が懸念される。
 

JAが対策本部 宮城県と福島県


 今月1~16日の日照時間が平年を大きく下回っている東北地方では、岩手、宮城、福島3県が水稲のいもち病や野菜の生育停滞を警戒し、農作物の管理徹底を呼び掛けている。

 気象庁によると、1~16日の8月の積算日照時間は、仙台市で12.2時間。平年の16%だった。福島市では22.1時間で同27%にとどまった。盛岡市は59.1時間で同73%だった。

 JA仙台は17日、「長雨・日照不足対策本部」の対策会議を本店で開催。一部で防除作業などに支障が出ていることを確認。現段階で穂いもち病などの被害は確認されていないとした。菅野育男組合長は「被害を最小限にとどめるため早期の対策を徹底する」と話した。

 JAふくしま未来は同日、「異常気象対策本部」を設置し、福島市内で農家向けの指導会を開いた。菅野孝志組合長は「農家が丹精して作った農作物を消費者に届けられるよう全身全霊で取り組む」と話した。

 低温・多湿でいもち病の発生しやすい状況が続いていることから、宮城県病虫害防除所は同日、注意を呼び掛けた。福島県病害虫防除所は、県内26地点で葉いもちの発生のしやすさを調べたところ、15日現在で発生しすい地点が7割まで高まった。栃木県でも同じ調査を実施。県北部を中心に多くの地点で発生しやすい条件となっている。

 農水省は「低温日照不足の地域では、いもちの発生や不稔などの冷害が起きる心配がある」(植物防疫課)と警戒を呼び掛ける。
 

やませが影響


 気象庁は17日、北日本の太平洋側と関東を中心とする日照不足と低温について、7月末に出現したオホーツク海高気圧により、北東からの冷たい風「やませ」が続いていることが影響していると報告した。今年の低温・日照不足は、「やませ」に加え、日本付近の偏西風が平年より南に偏って流れていることから、移動性低気圧が日本付近を多く通過していることが要因。太平洋高気圧の本州付近への張り出しも弱いことも加わった。
 

不作の30年前似た気圧配置


 農業向けに気象情報を提供している気象会社のハレックスは「やませの影響が大きかった88年の気圧配置とよく似ている」と指摘する。オホーツク海高気圧が強く張り出している点などが共通しており、農作物への影響を懸念する。

 88年は冷夏で、東北地方の米の作況が91と不作の年だった。一方、気象庁は「この年は今年よりもオホーツク海高気圧が強く、7月が低温・日照不足だった」として、8月が低温・日照不足の今年とは状況が異なると分析。また、「米不足でタイ米を輸入した93年ほどの冷夏でもない」と分析する。この年は梅雨明けが遅かった上に雨や曇りの日が多く「やませ」も吹き、気温も今年より低く、稲の生育に大きく影響したという。

 一方、沖縄・奄美は太平洋高気圧が平年に比べて日本の南海上で強く、日照時間が多かった。気象庁によると8月1日~16日の平均気温は平年比で1.5度高く、日照時間も平年比118%となっている。

 気象庁によると、今後1週間は北海道から関東の太平洋側で曇りや雨の日が多く、特に北日本太平洋側では気温の低い状態が続く。その後、8月下旬には低温傾向は解消し、平年並みの暑さとなる見込み。ただ、北日本太平洋側では日照時間は引き続き少ない見込み。

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