内閣支持率33% “官邸農政”見直す時だ

 日本農業新聞が農政モニターを対象に行った意識調査で、安倍内閣の支持率が33%に下落した。農政への評価も低く、7割が批判的に受け止めている。この生産現場の声を政府・与党は重く受け止めなければならない。安倍1強体制が揺らぐ中、“官邸農政”を見直す時が来ているのではないか。

 調査は今月3日の内閣改造直後に511人を対象に行った。回答数は308人と少ないものの、30%台の内閣支持率は大手マスコミ各社の世論調査と同様の傾向を示している。

 内閣支持率が前回調査(今年3月)より15ポイントと大幅に下がったことがまず注目される。農政改革への不信が底流にあるが、これだけ大きく下落したのは国家戦略特区を舞台にした加計学園の獣医学部設置問題や閣僚・国会議員の一連の不祥事、一部品目で環太平洋連携協定(TPP)水準を超えた日欧経済連携協定(EPA)の大枠合意が影響したと推測される。

 不支持の理由として「安倍首相を信頼していない」(58%)が高いのも、他の世論調査と同様だ。自身との関係が問われる加計学園・森友学園問題に対する安倍晋三首相の説明姿勢が不信を高めているとみられる。内閣不支持率は前回調査より16ポイント上がり過去最高の67%に達した。内閣改造による押し上げ効果は、この結果を見る限り出ていない。農村地域で支持率を回復させるのは容易ではない。

 農政への評価も辛い。「どちらかといえば評価しない」が37%、「全く評価しない」が31%ある。一方で肯定派は「どちらかといえば評価する」(24%)、「大いに評価する」(1.9%)合わせて全体の4分の1にとどまる。関係者に周知・説明すれば改善できるといったレベルの結果ではない。今後の農政改革では米の直接支払交付金(10アール7500円)の廃止が控え、これは農家の懐具合に直結する。農政への不満はさらに膨らむことが想定される。

 農政モニターは家族農業経営が大半を占める。こちらに不人気でも法人経営者の支持を得られれば問題ないと割り切る人は別として、国民の審判を選挙で受ける与党議員は、この結果に正面から向かい合うべきだ。

 農政で期待する政党のトップは自民党(34%)だが、2位には共産党(14%)が民進党(11%)を追い抜いて立った。現状への強い不満の表れといえる。農政はこれまで安倍1強体制の下で首相官邸が主導権を握り、農業関係者の十分な理解を得られないまま、生産流通の自由化や規制緩和、農協改革など新自由主義的な色彩の改革を急ぎ足で進めてきた。その政策方向と決定プロセスの両方に対し、現場の不信が高まっていることを調査結果は浮き彫りにした。

 自民党は農林部会長が小泉進次郎氏から野村哲郎氏に交代した。この機会に一度立ち止まり、農政の在り方を見詰め直してはどうか。

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