つながり 農村に活気 広がる「関係人口」 都市住民ら“短期留学” 仲介事業が定着

インターンシップ生を農村に迎え入れる佐々倉さん(左から2人目)。廃校を活用してイベントの企画を地域住民と練る(高知県四万十町で)

 都市と農村をつなぐパイプ役として若者が活躍している。法人組織を立ち上げ、都市住民らの農村での“短期留学”を仲介する新たなビジネスを確立。農村を一定期間訪れた学生らは、農家や自治会長と築いた関係から、引き続き農繁期の手伝いや都会での販売促進イベントで有力な助っ人になる。総務省はこうした取り組みが関係人口を拡大するとし、農村の活性化へ重要視する。

 総務省が昨年立ち上げた移住・交流施策の在り方を考える検討会は関係人口が特に、地域づくりを後押しするとみる。関係人口の拡大に、若者が企画したビジネスが各地で成果を上げている。
 

空き家や廃校 暮らしに活用


 高知県四万十町の一般社団法人「いなかパイプ」は周辺農家らと連携し1カ月間、農村暮らしを経験するインターンシップ生を受け入れる。空き家や廃校で暮らし、地鶏生産や有機農業、直売所の仕事を体験する。

 参加費用として基本9万8000円かかるが2010年以降、20~30代前半の280人を受け入れ、定住した若者も33人いる。また同法人は雇用も創出し、今では30代のスタッフ4人と理事3人が行政の補助金に頼らずに運営する。

 同法人を立ち上げた佐々倉玲於さん(37)は「田舎に若者は来ないと悲観していた地元の人が、若い人が来て喜んでいる」と実感する。
 

祭りの担い手 経済も活性化


 石川県七尾市で20~40代のスタッフ5人が運営する「御祓川」は10年から長期インターンシップ「能登留学」を仕掛ける。これまでに130人の学生らが参加し、中小企業の販路拡大や農家民宿の魅力づくりを手伝ってきた。地域経済の活性化に貢献し、自らの稼ぎも確保する。

 同社の圓山晃歩さん(24)は「祭りの担い手になったり、東京のイベントで手伝ってくれたりする関係が続く。若者が少ない農村の課題解決ができる」と強調する。

 調査会社の日本アプライドリサーチ研究所によると、新潟県中越地方の「にいがたイナカレッジ」や島根県海士町の「巡りの環」など、関係人口となる都市住民と、農村をつなぐ事業を企画する法人は全国にある。関わりたい都市住民と農村を結び付ける若者が法人運営する場合が多い。
 

結び付け人材 伸長の鍵に


 総務省の検討会委員で徳島大学の田口太郎准教授は「関係人口は定義が幅広く、都市農村交流以外にもさまざまな関わり方がある」と説明。その上で「農村と都市と両方の目線を持つ若い人材が仲介すれば発信力、共感力が高まる。若い人材が関係人口を広げる鍵となる」と指摘する。

<ことば> 関係人口

 離れていても、地域を多様な形で応援する人々。これまで政府、自治体は移住支援を中心に施策展開してきたが昨年、総務省が立ち上げた検討会では、短期留学や定期的に農村を訪れる、農作物を購入するなどして農村に関心を持つなどといった関係人口を重要視。地域づくりに貢献する担い手として長く関わり続けられる仕組み作りを目指す。

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