豪雨から2カ月 被害膨大 復旧足踏み 進まぬ現地調査 農地や農道 人員不足で着工遅れ 福岡県朝倉市

 九州北部豪雨の発生から2カ月。被災した福岡県朝倉市では、農地や農道などの復旧の遅れを懸念する声が強まっている。工事を進める上で必要な市の調査が難航しているためだ。早期復旧に向けて国は災害査定を簡素化したが、被害件数が膨れ上がる一方で人手が不足し、市の対応が追い付かない。その後に続く国の査定遅れにもつながる。復旧の遅れに農家は焦りを募らすが、懸命に調査を続ける市の担当者も疲労の色を濃くしている。

 水田や果樹の園地などに大きな被害が出た朝倉市。農地・農業用施設で被害報告があったのは8月31日時点で1600件に達し、5年前の豪雨災害の1190件を既に上回った。今後も増える見通しという。一方、これまでに調査を終えたのは全体の4割に満たない600件にとどまる。

 被災箇所の復旧工事で国庫補助を得るには、市町村が1件ごとに被害状況を調査し、必要な費用などをまとめた報告書を作成、国による災害査定を受ける必要がある。

 農水省は1月、大規模災害で被災した農地や農業用施設を対象に、これらの作業を簡素化するルールを決め、今回の豪雨災害で初めて適用した。書類だけで行う「机上査定」を査定対象の9割まで認めるなどの内容だ。机上査定であれば、市町村が用意する資料も比較的少なくて済むという。

 だが市は懸命の調査を続けているものの、思うように進んでいない。職員3人に加え、ОBや県などの職員の協力も得て計12人で対応するが、調査には1カ所当たり最低3人必要で、4班体制が限界。市農林課は「終日作業が連日で、これ以上は難しい」と明かす。

 60アール栽培する柿の多くで園地流失などの被害に遭った日野調栄さん(67)は「崩れた農道は多くが手付かずのまま。早く復旧工事を始めてほしいが、今後の見通しが立たず心配している人は多い」と話す。

 市は被害調査を急ぎ、九州農政局は25日から農地・農業用施設の災害査定を同市など県内で実施していく。同様に豪雨被害が発生した大分県内では、4日から国が査定を始める方向だ。

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