イチゴ「スカイベリー」 日本産また“標的” 中国で第三者商標登録

 日本の農産品ブランドの名称を、無関係な中国の業者が商標出願する事例が後を絶たない。これまで「松坂牛」など複数事例が確認されてきたが、今回新たに、栃木県が開発した人気のイチゴ「スカイベリー」が、中国の業者に商標登録されていることが判明した。日本の農産品ブランドのただ乗りを放置すれば、輸出拡大に水を差しかねない。日本ブランドの保護には、海外で無断増殖を防ぐための品種登録に加え、商標登録による「二重の防御」が有効だが、申請費用や手続きなどが産地の負担となり、思うように進んでいない。
 

対応負担重く 産地苦慮


 中国商標局は昨年、上海市のインターネット販売会社が申請した「SKYBERRY」「天空草莓」を商標登録した。「スカイベリー」を開発した栃木県とは無関係の会社だ。

 「スカイベリー」は大粒のイチゴで高価格で取引され、アジアにも多く輸出する栃木県期待の品種。マレーシアなど東南アジアの輸出相手国で商標取得を進めているが、検疫の問題で輸出できない中国では申請しなかった。栃木県農政部は「いったん権利化されたものの取り消しは困難だ」と対応に苦慮する。

 中国業者による日本の地名やブランド名の出願が相次いでおり、これまで「松阪牛」に似た「松坂牛」「松板牛」も出願されている。今年、地理的表示(GI)に登録された「西尾の抹茶」も無関係な中国の業者から商標出願され、愛知県の西尾茶協同組合は8月、異議申し立てを行った。

 商標登録は日本のブランドを守るための有効なツールになっている。福岡県のイチゴ「あまおう」の場合、苗木の無断増殖を防ぐために中国などで品種登録を行うと同時に商標登録も行った。品種登録で守られる育成者権は25年または30年で切れるため、更新で保護期間を延長できる商標権を組み合わせブランドを保護する。

 農水省は「農林水産知的財産保護コンソーシアム」を立ち上げ、中国などの商標出願状況を監視し、会員の都道府県やJAなどに情報提供する仕組みを立ち上げている。だが、中国当局への異議申し立てや裁判には費用がかさみ、異議申し立てだけでも数十万円かかる。同省によると「費用負担が重荷になって、異議申し立てを諦めた事例もある」という。実際に異議を申し立てた団体でも、「手続きが煩雑」との声が上がる。

 同省は来年度予算概算要求に、外国の第三者が日本のGIを商標出願した場合に、異議申し立てにかかる費用を助成する事業を盛り込んでいる。

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