和牛全共が開幕 消費者に魅力伝えよう

 5年に1度開かれる全国和牛能力共進会(和牛全共)の最終比較審査が、7日から仙台市で始まる。和牛の力を消費者に伝える場としても活用したい。

 テーマは「高めよう生産力 伝えよう和牛力 明日へつなぐ和牛生産」。11回目となる和牛全共だが、人口100万人を超える大都市での開催は初めて。外国人も含め、多くの消費者の来場が予想される。本来、改良の成果を確認する生産者のイベントではあるが、特に今回は消費者への発信力が侮れない。

 食品業界に「フランス人のジレンマ」という言葉がある。酒の飲み過ぎを気にしていても、機能性成分があることを言い訳に、ワインだけは手放さないことを表す言い回しだ。飲み食いするには“言い訳”が必要な場合がある。最近の売れ筋食品も、食べ過ぎることへの罪悪感を薄め、“言い訳”を提供する性質が備わっていると、食品業界では言われている。

 例えば、昨冬ヒットした鍋物料理に「草鍋」がある。具材はセリや小松菜、ニラなど、青菜が中心で、体重を気にする消費者にも、健康的でたくさん食べても大丈夫と思わせた。バレンタインデーで売れたのが、乳酸菌入りチョコレートだ。乳酸菌の健康イメージが、甘い菓子類を我慢している人を、チョコレート売り場に呼び込んだ。

 和牛全共は牛の能力向上を目指し、新たな改良方向を探ることが目的だが、政令指定都市での開催は初。会場は大規模商業施設にも近く、多くの消費者が来場すると見込まれる。それだけに、和牛肉の購買意欲を高めるPRにも注力したい。

 牛肉では、赤身肉の健康さを訴えるコマーシャルがテレビで流されたこともあり、サシの多い和牛を敬遠する動きが出ている。赤身肉に移った買い気を和牛肉に戻すためにも、高級感やおいしさだけでなく、もっと機能性を訴え、買う“言い訳”を提供することが大切だろう。

 今回も肉牛の部では、脂肪の質が審査基準に入った。オレイン酸などの一価不飽和脂肪酸が肉質の評価対象になる。多くの消費者は、不飽和脂肪酸は心筋梗塞や動脈硬化の予防に良さそうだという印象は持つが、低温でも溶ける和牛の脂肪が、不飽和脂肪酸を多く含んでいることなど知らない。ましてや全共出品牛が脂肪酸で評価されていることなど、伝わってはいない。こうした健康イメージをもっとアピールしてはどうか。

 誤解されやすいが、全共は単なる牛の体形コンテストではないし、日本一おいしい牛肉を決める場でもない。それでも名誉賞を取れば今後5年間は日本一の産地としてPRでき、地域経済への効果も大きい。産地が競い、日本一の座を勝ち取る意義は大きい。しかし海外から赤身肉が大量に入り、消費者のサシ離れが見える今、産地がまとまって、和牛全体の購買意欲をかき立てる場として、「和牛力」を積極的に伝えたい。

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