5年で150億円 農作業事故撲滅 韓国

 韓国は、農作業事故撲滅に向け、国を挙げた対策に乗り出した。5年間で日本円にして150億円の予算を計上した。日本の農水省の2016年度の関係予算1600万円を大幅に上回る額だ。撲滅に向け、韓国政府直轄の新組織「農業者健康安全協会」を設置した他、18年からは国家資格として、農作業安全保健技師試験を創設する。人材育成で事故を未然に防ぐ体制づくりを進める。農作業事故で日本と同様の問題を抱える韓国で、その対策が長期計画で動き出している。

 韓国では、全産業の中で、農業が最も事故率が高い。産業災害保険の加入者に占める補償割合を示す産業災害率を見ると、15年は全産業の0・5%に対し、農業は0・94%となっている。

 農作業事故防止を所管する農村振興庁農業安全保健課の李敬淑課長は、「この数値は、5人以上を雇用する農業法人しか対象にしていないため、実際の災害率はもっと高いはずだ」と解説する。1万人当たりの死亡率を見ても、一般労働者の1・01人に対し、自営農業者は18・67人と高い。

 これらの状況を踏まえ、5月に誕生した文在寅政権は、「農業者が安心して農業に従事する国づくり」を公約に掲げた。事故撲滅を重要な課題と位置付けた。

 具体的には、5年間(19~23年)で150億円の予算を投じ、事故防止に向けた技術開発、普及に取り組む。事故を未然に防ぐための予防教育や関連システムの開発を進める。

 そのため、日本の農水省に当たる農林畜産食品部は7月、新組織の社団法人農業者健康安全協会を設立。法整備や予防策を構築し、意識改革を啓発する。

 さらに、人材育成で、農作業事故を未然に防止する。日本の厚生労働省に当たる雇用労働部は8月、来年7月から農作業安全保健技師の試験を新設すると発表した。

 日本も農業が最も危険な産業であることは、韓国と同様。厚労省によると16年の産業別災害率は、農林業が4・31と産業別トップで、全産業平均に比べ2・6倍となっている。農作業事故による死亡者数もここ10年間350件前後で減っていない。農作業事故防止対策の予算などを見ても、日本の対応は大きく出遅れている。

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