“和牛五輪”が閉幕 錬磨重ね5年後会おう

 第11回全国和牛能力共進会が11日閉幕した。39道府県513頭が競い、総合成績で決める団体表彰は鹿児島県、最高位の名誉賞は種牛の部で大分県、肉牛の部で宮崎県が獲得した。一方で北海道、東北、関東、中部、近畿、中四国勢が上位に食い込み、産地力が僅差に近づいていることを裏付けた全共だった。

 全出品牛で能力の高さを示し、総合評価で産地として日本一になった鹿児島県。宮崎県は史上初の3大会連続名誉賞で和牛のレベルの高さを改めて実証した。11回の全共の中で常に安定した上位の成績を残してきた大分県も、名誉賞にふさわしい成果を見せた。牛の長距離移動の不利を抱える九州勢だが、輸送から会場入り後の仕上げまで、勝ち方を知り尽くした県が実力を発揮したといえる。

 和牛のオリンピックと言われる全共には、改良の方向性を示す役割がある。10年前の鳥取全共から、地元で受け継がれる和牛系統の掘り起こしと、肉のうま味成分の一つである脂肪の質に着目してきた。大分県の名誉賞は10年以上前から地元の系統を育てたことが結果につながった。宮崎県、鹿児島県に続き鳥取県や宮城県も系統の育成が評価され上位に入った。

 枝肉の審査ではBMS(脂肪交雑)ナンバー重視を見直したことが注目される。ナンバー10から最高の12を同列の評価とする一方、うま味に関わる脂肪酸や脂肪のきめ細かさなどを高く評価し、肉質改良の方向性を示した。特別賞では「脂肪の質」賞に香川県、「交雑脂肪の形状」賞に長崎県が選ばれた。全出場道府県が2頭ずつ出品した肉質を競う9区では、鹿児島県が優等賞1席と4席を獲得したが、2席と5席に京都府の出品牛が選ばれた。6席には山口県、7席には岡山県が入るなど、肉質の評価は高いレベルでの審査となった。

 今回の全共から高校生の部(復興特別出品区)も設けられ、14府県から14頭の雌牛が参加した。初代高校日本一には岐阜県立飛騨高山高校が見事輝いた。若い力の活躍が全共を爽やかに盛り上げた。ここから将来、日本一に挑戦する担い手の誕生を期待したい。

 「和牛は肉用牛たりうるか」をテーマに1966年に始まった和牛全共。農耕牛から食用への改良を追求し続け、和牛を今や日本を代表する食文化にまで押し上げた。政令指定都市で初めての開催となった今回、来場者数は5日間で約41万7000人(速報値)に上り、消費者やメディアに和牛の魅力をアピールする機会にもなった。

 団体日本一という栄誉を獲得した鹿児島県は、次回2022年の最終比較審査の開催地になる。仙台の地で残した名誉賞奪還という宿題に地元でどう答えを出すか。名誉賞4連覇を目指す宮崎県。さらに、上位に入った各道府県も経験をどのように生かすか。5年後が楽しみでならない。

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