日本は風の国

 日本は風の国。風の名前の何と多彩なことか。四季の暮らしは風と共にある。寒風いてつく木枯らしの後、花信風(かしんふう)が春を告げる。早苗に吹く青田風、夏の終わりの盆東風(ぼんごち)、雁渡(かりわた)しが秋を運んでくる▼そして野分(のわけ)の季節へ。この3連休は、稲穂を揺らす金風ならぬ台風が列島を縦断した。倒れた稲に落ちたリンゴ。各地に深い爪痕を残し、実りを奪い去った。農家も犠牲になった。台風一過の晴天の下、無残な田畑、泥まみれの街並みに言葉もない。暴風雨のことを風巻(しまき)と言うが、巻き込まれた人々の無念を思う▼列島が強風にさらされている最中、永田町ではにわかに解散風が吹き荒れた。野党結集や新党が風を起こす前に、疾風(はやて)の奇襲に出る作戦なのだろう。風雲急、まさに風立ちぬ。センセイたちは一斉に浮き足立つ▼追い風、向かい風、風向きを読んだ上での首相の判断になるのだろうが、肝心の大義が見えない。「人づくり解散」などと後付けをするのか。野党は「自己保身解散」「疑惑隠し解散」と攻め立てるが、共闘さえままならない。北朝鮮の核とミサイルによる爆風危機が迫る中、党利党略、個利個略で政治空白をつくっていいのか、国民は鼻白む▼横しま風とは、横殴りの暴風のことだが、この解散風、よこしまな風に思えてならない。

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