児童が描いた壁画が、校庭に残された

 児童が描いた壁画が、校庭に残された。東日本大震災で、児童74人、教職員10人が犠牲になった宮城県石巻市立大川小学校は、震災遺構として保存される。震災後2度同校を訪れた。壁画は卒業制作記念で、宮沢賢治の作品を題材にしている▼津波の激しさを物語り、壁画は傷んでいた。〈雨ニモマケズ 風ニモマケズ〉の「雨ニ」と「風」の文字は削り取られていた。あの日、校庭にとどまり続けて、命を落とした子どもらの無念さを思うと、言葉を失った▼壁画には「銀河鉄道の夜」の一コマも描かれている。絵の脇には〈世界が全体に幸福にならないうちは、個人の幸福はありえない〉の文字。この言葉は、賢治が『農民芸術概論綱要』に記したもので、彼の思想、文学の核心でもある。子どもらは、その一節を分かりやすい言葉にして壁に刻んだ▼きょうは賢治が37歳で早世し、天空の星になった日。「銀河鉄道の夜」は友との死別を主旋律に、厄災で天上へと向かう人々を通奏低音で奏でた物語である。賢治は、明治三陸地震の年、今の花巻市で生まれ、昭和三陸地震・大津波の年に生涯を閉じた。途中には関東大震災もあった▼東日本大震災から6年半余り。大川小の子どもらも銀河鉄道に乗って、賢治と「星めぐりの歌」を歌っているだろうか。 

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