[あんぐる] タマネギ こだわり 満載 農民車 兵庫県・淡路島

淡路島でタマネギ生産に活躍する「農民車」。大きな荷台を備える以外、デザインなどはさまざまだ(兵庫県・淡路島で)

 タマネギの大産地、兵庫県・淡路島で「農民車(のうみんしゃ)」と呼ばれる独特な農業用車両が活躍している。島内の鉄工所が中古の部品で作り、運搬などに活躍するカスタムカーだ。

 農民車の特徴は圧倒的な走破力。建設機械用の大きなタイヤを乗用車などのエンジンで回し、高低差のある畝も乗り越える。農道から直接、畑に乗り入れ、軽トラックでは積み切れない大量のタマネギを乾燥小屋までいっぺんに運べる唯一の車だ。

 タマネギ栽培が盛んな島内南部の農家のほとんどが、農民車を持っている。南あわじ市のタマネギ農家、山口幾男さん(68)は「雨の後のぬかるんだ畑も走れる。戦車のように頑丈で何十年も使える」と話す。

 島内では現在約4000台の農民車が稼働する。全て島内に数軒ある鉄工所製だ。鋼材を溶接したフレームに、中古車のエンジンや変速機、足回りなどを組み付け、車の幅や色、機能などは農家の注文に応じる。値段は1台100万~150万円ほどだ。

 農民車が登場したのは1960年代前半ごろ。当初は農業用発動機で動く簡素な車だったが、四輪駆動や荷台のリフト、ダンプといった機能が加わり進化を続けてきた。

 黎明(れいめい)期から農民車を手掛ける江本鉄工の江本一也さん(71)は、「これまでに2000台以上、最盛期には年間130台作った」と話す。サトウキビの収穫用に、沖縄県の離島に船で届けたこともある。

 ただ、近年は中古車の輸出増によって部品が不足し、生産数が減っている。「今作っている車が最後の一台になる」と江本さんは漏らした。

 JAあわじ島農機自動車センターは、タマネギ生産を支える農民車の修理を請け負う。兵庫県で作られるタマネギの9割以上が淡路島産。同センターの奥野隆史所長は「農民車がなければ島のタマネギ生産の発達もなかった。農家が求める限り、なくなることはないだろう」と力を込めた。(富永健太郎) 



動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=dZkjRbSEb7s

おすすめ記事

動画ニュースの新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは