中秋の名月 十五夜に豊作願う

縁台に供え物をする藤田さん(栃木県矢板市で)

自作のぼうじぼを紹介する 大島さん(栃木県塩谷町で)

 4日は十五夜です。中秋の名月をめでる月見は、今も家庭で行われています。由来や各地の風習を紹介します。
 

農耕儀礼行う日


 「暦のない時代から月の満ち欠けを月日の目安としていたように、月と人との関わりは深いものでした」と話すのは、年中行事に詳しい成城大学の田中宣一名誉教授です。月見の由来で知られるのは、大陸から伝わった中秋の名月観賞の風習です。月をめでつつ酒宴を開き、和歌を詠み合う行事が、奈良時代から貴族の間で行われました。

 当時の庶民の風習は記録にありませんが「満月が特別だったことは、満月の日に行事や祭りが多いことから推察できます」と田中名誉教授。空気が澄み、月がきれいに見える旧暦8月の満月は収穫期と重なり、農耕儀礼を行う日として大切にされたと考えられます。米や芋など秋の実りを供え、収穫を感謝し、豊作を祈願します。ススキや団子、酒を供えるのが一般的です。作柄の吉凶を占ったり、子どもが相撲をしたりと行事もさまざまです。

 十五夜の後の十三夜(旧暦の9月13日、今年は11月1日)にも月見をするのは日本独自の風習です。両方の月を見ない“片見月”は良くないとされる地域もあります。

 十五夜を「芋名月」、十三夜を「栗名月」「豆名月」などと呼ぶのは、その時々の収穫を祝った証しです。「豊かな実りに支えられてきた農村の暮らしが、月見の風習につながっています」
 

十三夜 欠かさず


  栃木県矢板市の藤田美幸さん(57)は「十五夜と十三夜のお月見は毎年欠かしません」と話します。

 うるち米ともち米を粉にして作った団子と新米のご飯、季節の果実や野菜を供えます。祝い事で作る煮物も欠かせません。酒が入った杯と一緒に盆に載せ、ススキの茎で作った箸を添えます。

 「団子の数や供える物は決まっていませんが、ススキは十五夜が5本、十三夜は3本です」と藤田さんは説明します。満月を家族で眺めた後、供え物を食べます。

 「団子は小豆あんやみたらしのたれで食べるとおいしいですよ」と勧めます。

<月見団子の作り方>

■材料

 米粉300グラム、もち米粉100グラム、熱湯500ミリリットル

■作り方

①粉をふるって混ぜ合わせる②①をボウルに入れ、熱湯を少しずつ加える。最初は箸で混ぜ、適温になったら手でこねる③生地がまとまったら太さ3センチの棒状にした後、3センチの長さでちぎり、大きさが均等になるようにして丸める④蒸し器で7、8分蒸す。表面につやが出てふっくらしたら完成。
 

“ぼうじぼ”伝える


 「月見の夜は、子どもがわらで作った“ぼうじぼ”を持ち、各家を回ります」と話すのは、同県塩谷町の大島武さん(76)。玄関先で「ぼうじぼ当たれ、三角四角のそば当たれ」と歌いながら、ぼうじぼを地面にたたきつけます。土の精霊を呼び起こし、モグラや虫を追い払うことで豊作になるといわれています。「昔は団子などの供え物を食べられたから、われ先にと回りました」と大島さん。

 少子化でぼうじぼの行事も少しずつ変わりました。各家で作っていたぼうじぼも、作り手が減りました。大島さんは得意のわら細工の腕を生かして、小学校やイベントで作り方を伝えています。

 「子どもが来るのを心待ちにしている人が多い。地域が元気になる行事は長く続いてほしいです」




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