[2017衆院選] 公約出そろい論戦 希望 批判票取り込み 自民 組織固めに躍起

 衆院選は10日の公示を前に各党公約が出そろい、農村部でも論戦が熱を帯びてきた。「自民」「希望」「立憲民主」の各党を中心とする三極が争う構図で、政権批判の受け皿を狙う野党側は官邸主導で構造改革を進める安倍農政を徹底批判する。迎え撃つ自民にはこれまでにない危機感がにじみ、農協など組織票固めを急いでいる。

 「希望の党を、古里の思いを実現するための器として必ずつくり上げていく」。民進党から希望の党に合流した茨城1区の福島伸享氏は7日、下妻市であった決起集会で強調した。

 福島氏は民進党農政の論客として実績を積み上げてきた。森友・加計問題で安倍晋三首相を国会で追及したことで全国的な知名度も上昇。前回選挙は自民党の田所嘉徳氏が勝ったが、今月4日には安倍首相が応援入りするなど与党が警戒する選挙区の一つだ。

 ただ、希望の政策には警戒感も出始めている。6日に発表した公約には「農業補助金を大胆に廃止」「徹底した規制改革」といった言葉が並んだ。合流や公認選定を巡る混乱もあり「地方ではそれほど風は吹いていない」(希望関係者)。福島氏は決起集会後の取材に「新党で戸別所得補償制度のような直接支払いを充実させていく」と強調した。

 茨城1区には両氏の他、共産党の大内久美子氏と幸福実現党の川辺賢一氏が出馬を予定している。

 7日午前10時。佐賀県唐津市の神社の祭りに、佐賀2区から出馬を予定する与野党の前職議員が顔を見せた。自民党の古川康氏と、民進党出身で今回は希望の党から公認を受けた大串博志氏だ。

 両者は数メートルの距離にいながら一度も目線を合わさず会場を後にした。2014年の衆院選で両者は対決。元県知事の古川氏が制し、大串氏は比例復活だった。

 今回も知名度に勝る古川氏優勢の選挙戦を予想する向きもあったが、安倍農政のつけが表面化しつつある。6日に県農政協は役員・支部長合同会議で衆院選の推薦議員を協議したが意見がまとまらず、9日に再度会議を開く。農協改革を進める安倍政権への不信感が募り、今回は各支部が自主投票を推す声が強い。前回、県農政協から支持を得た古川氏にとっては逆風だ。古川氏は固い表情で「農業関係者の厳しい声は覚悟している。与党としてしっかり受け止め、政策を良くしていきたい」と述べた。

 「上から目線の農協改革を何とかしたい」。そう政権批判を強める大串氏も攻め一方とはいかない。安保法案採決では反対派として存在感を発揮した。それだけに希望の党が迫った踏み絵で、主張を変えた政治姿勢に疑いを持たれるのは必至。即席感が拭えない党の農業公約も含め、説明に追われる戦いになりそうだ。

 同区では共産党の新人大森斉氏も立候補を予定する。

 長野1区に立候補する民進党出身の篠原孝元農水副大臣は、希望の党の政策協定書に反発し公認を辞退。無所属での出馬を決めた。

 同区は県庁所在地を含むが、果樹や水稲が盛んな地帯で中山間地域も多い。農村票が当落に大きく影響する。環太平洋連携協定(TPP)に猛反対するなど、農政通の篠原氏は自民が圧勝した大逆風の中でも2回にわたり議席を死守してきた。今回は、比例復活した自民前職の小松裕氏と維新新人の橋本将之氏と議席を争う。共産は篠原氏の公認辞退を受け、候補者を取り下げ支援に回った。

 篠原氏は7日、長野市内で夕方まで支持者宅を自転車で一軒ずつ回り無所属での出馬の経緯を説明。改めて支持を訴えた。手渡したちらしには準備が間に合わず「民進党」の文字が残る。

 篠原氏は「(支持者は)篠原孝を支持してくれている。どこの党だろうと変わらない」とし、選挙期間中はこれまでの選挙戦と同様に30以上の会場でミニ集会を開き政策の浸透を図る。

 農政について「農協いじめや卸売市場法(の見直し)など安倍農政はでたらめだ」と主張。農業者戸別所得補償の復活などを柱に、農村部へ支持を訴え「アベノミクス農政と徹底的に戦う」方針を語った。

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