[2017衆院選] 歴史的な選択 憲法と農政の未来 左右

 衆院選が始まった。結果によって国のかたちや農政の在り方が大きく動く。歴史的な選挙であるとの認識で臨みたい。有権者は選挙後に起こり得る事態を想定し判断してほしい。農村こそ未来を決める主戦場である。

 北朝鮮の核ミサイル挑発で緊迫する中、大義が見えない解散・総選挙に踏み切った安倍晋三首相の姿勢は改めて厳しく問われるべきである。憲法の規定に基づく野党の国会開催要求を3カ月も放置した末の冒頭解散には、憲法や民主主義を軽んじる姿勢が見える。この間、「丁寧に説明する」と言明した森友・加計学園問題でも説明責任を果たさなかった。「疑惑逃れ解散」の批判は免れない。

 しかし、衆院選は始まった。今、重大な岐路に立っていることを認識しなければならない。最大の争点は憲法改正に踏み出すか否か。農政では「官邸農政」を続けるか転換するか。国のかたちを変え得る選挙である。この二大テーマの行方は自民党の獲得議席と相関する。

 自公の与党で再び3分の2の現有勢力を維持すれば、「安倍1強」は国民の信任を得た格好になる。改憲手続きは自衛隊明記の案を基に首相の主導権の下で進む。官邸主導の農政の枠組みも維持される。グローバル化の加速、生産・流通の自由化、規制緩和・現制度の改廃といった新自由主義的な農政の方向は揺るがない。積み残した農協法の一層の見直しや准組合員の事業利用規制問題は規制改革推進会議のペースで進む。これに与党が歯止めに回るという構図は変わらないだろう。

 自民党が議席を大幅に減らした場合、安倍政権の継続は見通せなくなる。継続したとしても来年秋の自民党総裁選3選は視界不良だ。与党で過半数割れの大敗となった場合、安倍首相の退陣は必至。かつての自社さ連立政権のように、希望の党の政権参加を含めて、さまざまな連立の方程式があり得る。

 希望の党がどの程度の本気度で農政に関与するのか見えない。「寛容な保守」をうたうが、小池百合子代表は規制改革や特区の推進を重視し、安倍政権との違いはない。東京目線では地方に届かない。農政での立ち位置を早急に明確にするべきだ。立憲民主党、共産党、社民党は「9条改悪阻止・反安倍農政」の立場で民意の受け皿を目指す。大政党に有利な小選挙区制度の下で第3極にふさわしい勢力を確保できるかが焦点だ。

 選挙戦では官邸農政の功罪について各党、各候補が論戦しなければならない。農業の実態を知らない経済界代表らでつくる首相の諮問機関が重要政策を主導する。食料・農業・農村基本法に基づき重要事項を協議するはずの農水省審議会は、改革議論にほとんど関与しなかった。こうした政策決定の在り方は農業者の反発や有識者からも批判され、農政への信頼を低下させた。維持か転換か、与党候補者にこそ問いたい。

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