[2017衆院選][争点を追う 1] 米政策 転作支援 継続拡充を

「転作の維持、拡大には交付金確保が不可欠」と訴える近田代表(宮城県加美町で)

 農業、農村では米生産調整の見直しや、TPPなどの外交交渉、農協改革など農政を巡る課題に直面している。その中で農家は、衆院選挙に何を問うのか。生産現場の声から、争点を追う。
 

経営安定に不可欠 宮城


 「水田に何を作付けしたら所得を確保できるのか。その政策も重要な選挙の判断材料になる」。宮城県加美町の平野部、鳴瀬地区で92ヘクタールを手掛ける農事組合法人KАМIX(カミックス)の代表、近田利樹さん(59)は考え込む。

 生産数量目標に基づき3割の32ヘクタールを転作。主食用米並みの販売収入を得るため、最大10万5000円の数量払いがある飼料用米を13ヘクタール、10アール当たり3万5000円と畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)2万円がある大豆を19ヘクタールで作付けする。交付金収入を勘案し、主食用米を減らしても経営が安定できる品目構成にした。

 しかし、経営内容の見直しが迫られている。10アール当たり7500円の米の直接支払交付金が2018年産以降、廃止されるからだ。

 主食用米や飼料用米、大豆の交付金収入は約3500万円。92ヘクタールを維持するため、人件費が年間2500万円を超え、機械の賃貸料も年間2000万円以上かかる。直接支払交付金と販売収入を合わせてぎりぎり収支を保っている状態だ。

 「7500円廃止は痛手。かといって主食用米を増やしても価格低迷を招く恐れがある」と近田さんは考える。飼料用米や大豆への転換を増やす考えだが「転作の交付金単価が維持されなければ、農地は守りきれなくなる」と強調する。

 法人が所属するJА加美よつばは飼料用米専用のカントリーエレベーター(CE)を設置するなどして作付けを推進。17年度の面積は680ヘクタールで、推進当初の08年度の24ヘクタールから大幅に増えた。

 JАは「飼料用米は生産調整の重要な作物。数量払いは農家の意欲も高まる。転作を進め、経営を支えるには交付金の確保が必須」(営農販売部)と指摘する。
 

山間地 守れぬ 青森


 水田1枚の面積は平均10アールで、5アール未満のところも多い青森県西目屋村の山間部。小規模水田が大半を占める村市地区は、作業効率が悪い中でも転作を続けてきた。

 村市地区集落営農組合は現在、14ヘクタールを受託し、大豆8ヘクタール、水稲6ヘクタールをこなす。高齢で引退する農家から作業を引き受け、12年度の設立当初と比べて4倍に拡大した。

 小規模水田が点在しているため水稲、大豆ともに収穫時は、コンバインを頻繁に移動させなければならない。車の燃料費もかさむ。規模拡大によるコスト削減が難しい中、これまでは米と大豆、両方の直接支払交付金が受託組織の支えだった。

 18年産以降、10アール当たり7500円の米の交付金が廃止されることに対し、組合代表の佐藤武由さん(76)は「今後も受託は増える。条件の悪い山間部で、拡大する面積をこなすには支援が欠かせない」と強調。各党の農政の姿勢を見極め、一票を投じる。

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