[2017衆院選][争点を追う 2] 米需給 「産地主体」課題残る

収穫した米を運搬する黒田さん。「今の助成金の水準が守られるのかどうか。飼料用米の交付単価を守ってほしい」と需給調整の先行きに気をもむ(茨城県稲敷市で)

系統頼みは「限界」 茨城 


 10月上旬の茨城県稲敷市。同県が飼料用に推進する新品種「月の光」の稲穂が揺れる。黒田久夫さん(70)は「8月下旬に主食用から収穫を始めてこの水田が最後。これ以上、飼料用を増やすと作業が回らなくなる」と言う。20ヘクタールのうち12ヘクタールを主食用、8ヘクタールが飼料用だ。

 全国の主食用米の面積(9月15日現在)は137万ヘクタールで、3年連続で生産調整を達成する見通し。同県の主食用米も前年比800ヘクタール減の6万6400ヘクタール。飼料用への転換を進め、超過作付けは3年前の6900ヘクタールから、3388ヘクタールに減らした。

 だが、限界感が漂う。「JA系統は飼料用米に目いっぱい取り組んでいる。後は系統外の農家の協力をどう得るかだ」。JA茨城県中央会県域営農支援センターの糸賀秀徳副センター長は言う。JAや市町村、時には中央会も一緒に農家を訪ね、飼料用米生産を呼び掛けてきた。県内の飼料用米のうち、JA系統の割合は約7割。主食用米の約3割と比べれば、系統依存の高さは明白だ。

 国は来年から生産数量目標の配分から手を引く。生産調整の協力者に支払う10アール7500円の米の直接支払交付金も廃止し、ナラシ対策は生産調整への参加を加入要件から外す方針。需給調整は、産地の主体性に大きく委ねられる。「系統外も含めて、需給調整の意思統一を図ることが、これまで以上に必要だ」(糸賀副センター長)。
 

全国組織立ち上げを 北海道 


 関係者一体の取り組みを求める声は他産地からも上がる。生産調整を順守し、全国でも1、2位の米生産量を誇る北海道。来年以降、大半の県は生産数量目標に代わる「生産量の目安」を設定する方針だがJA北海道中央会は「目安はあくまで自主的な数字だが、守られなければ需給は崩れ、国内産地が沈没する。全県が集まる全国組織を立ち上げ、目安が守られているかどうか確認し合いながら進めるべきだ」(水田農業課)と訴える。

 JA全中は、系統外の集荷組織も含め関係者一体で需給調整への対応を協議する全国組織の設立を求めている。焦点は、関係者の協力を引き出すためにも、全国組織に国が関与するかどうか。だが、農水省は産地主体の需給調整を貫徹したいと、関与には否定的だ。自民党も衆院選の公約で「全国的な推進組織の立ち上げを支援」するとしたものの、国の関与の在り方には触れていない。

 「生産の目安を“守るべき数字”として定着させるには、県や市町村段階での行政の働き掛けが肝になる。全国組織への国の関与が、行政の取り組みを引き出す重しになる」(同中央会)。

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