水稲作況100 需給引き締め成果注視

 全国の米作況指数(9月15日現在)が100の「平年並み」となった。当初見通しより供給量は下ぶれし、需給引き締まりが鮮明となる。販売本格化となる2017年産の米価が、どの程度回復するかを注視する。

 農水省の見通しでは、17年産の生産量は731万3000トンと、生産数量目標(735万トン)を下回り、自主的取組参考値(733万トン)の達成が見えてきた。このままいけば来年6月末の在庫量は180万トン程度と、適正水準(200万トン)を大きく下回る。ただ、売買同時契約(SBS)取引による輸入米の増加に警戒が必要だ。

 作況指数が1変わると、米の収穫量が8万トン上下する。気象による作柄変動が起きても需給が緩まぬよう、産地は飼料用米や米粉用米などを作付ける“深掘り”に努めて、米の過剰作付け発生を3年連続で回避した。

 農家に支払われる概算金は東北や関東産の主力銘柄で60キロ当たり1万2000~1万3000円。前年に続き上向いたが、14年産に暴落した分を3年かけて取り戻した、とするのが現場感覚だ。全算入生産費(同1万4584円・16年産)には届かない。来年から10アール7500円の米直接支払交付金も廃止される。経営が潤う状況にない。

 米の値上がりに卸や実需者の警戒感は強い。「安売りしないと消費が減退する」と産地に責任を押し付けるのは安易だ。「近年、米価と消費量の相関性は薄まっている」(米穀機構)。米価が暴落した年に消費量がV字回復した例はなく、むしろ一度下げた価格を戻す難しさを目の当たりにした。

 国内稲作の現状を直視すべきだ。生産費割れが続いたことで高齢農家の離農が進み、後継者不足に拍車を掛けてきた。将来的に供給力が落ち込めば、国産米市場が縮んで、結果、業界全体の不利益となる。

 産地側の姿勢も問われる。今秋に値上がりした価格が消費サイドに浸透する前に、急激な価格変動を招いては混乱を来す。米の作柄は前回(8月15日時点)調査より低下した地域が目立った。米の不足感から転売業者が産地に入り、集荷競争が熱を帯びている。半面、東日本の一部では登熟期の天候不良で品質を落とす米の発生が想定され、相場を冷やす要素もある。冷静な対応が必要になる。

 JAなど集荷団体が、米の集荷量を確実に積み上げられるかが要である。国内生産量の4割に及ぶ約300万トンの集荷を担うJA全農の役割は大きい。JAグループ一丸で供給責任を果たし、安定取引に貢献していくべきだ。

 米政策は18年産から大きな転機を迎える。国が生産数量目標の配分をやめ、産地の自主的な需給調整に移行する。円滑に移行できるかを占う一つの材料が米価だ。産地が卸や実需者との関係を強め、双方が納得でき、生産基盤の維持が図れる価格の居所を探る視点が欠かせない。

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