民、信無くんば立たず

 〈民、信無くんば立たず〉。中国春秋時代の孔子は政治には人民の信頼が最も大切だと説いた▼政治の要諦は、食料の充足、軍備の充足、そして人民が信頼の心を持つことの三つ。もし、どうしても捨てなければならないとすれば、まず兵であり、次に食料、最後は信とする。なぜなら「人間が生きるよりどころは信義にある」から。中国文学者の吉川幸次郎さんの解説『論語』(朝日選書)で合点がいった▼明治維新を先導した西郷隆盛が、敵味方から信頼されたのはなぜか。「事にのぞんで、いつでも命を投げ出すことの出来る人」だったからと、作家の池波正太郎は『動乱の男たち』(ゆまにて出版)で書いた。同郷で盟友の大久保利通は「思いきりが早すぎて困る」と嘆いたというが、損得を投げ出して事に当たる姿勢は人を引き付ける▼今の政治に求められるのは、まさに信義。一億総活躍を唱えながらアベノミクスがもたらしたものは格差と分断。解散は森友・加計学園問題隠しと選挙に勝つためだけの党利党略と映る。離合集散する野党の義も見えない。政権選択できる2大政党の構築といいながら、結局、「自分ファースト」をさらけ出した。これでは、国民から信を得られるはずがない▼投票まであと5日。自分の目で確かめて本物の政治家を選ぶ時である。 

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