[未来この手で ノーベルの国から 1] 政治参加わくわく感 20代の市会議員

仲間の20代の政治家と意見を言い合うエマさん(中)(ストックホルムで)

 若者の社会参画が盛んなスウェーデン。国の政策決定に、地域社会の創生に、活力ある農業・農村づくりに、新しい風を吹かす。協同組合に集って住みよい社会と暮らしを守るのも若い世代だ。欧州の若者政策をリードする人口1000万人の国の今を報告する。

 スウェーデンの農村地帯・スカーラ市。祖父が酪農家だったエマ・オプスさん(23)は、19歳から市議会議員を務める。普段はストックホルムの大学生。月に2回、議会のある休日や夜に地元に戻る。

 「年齢や女性だからといって、差別を受けたことも優遇されたこともないわ」とエマさん。同僚の政治家や大学生と活発に議論を交わす。

 政治家を志したのは14歳の時。地方紙に学校経営の問題で投書したのがきっかけだ。大きな反響があった。「自分の意見で社会を変えられる」。政治参加にわくわくする気持ちを感じた。

 この国で、エマさんは決して、特別な存在ではない。職業政治家は主流ではなく、国内に3万人いる政治家のうち大半の地方議員は他に仕事を持っている。自治体は誰でも政治活動できるよう、開催日時などの議会運営を工夫する。エマさんの報酬は交通費にも満たないが、政治にやりがいを見いだす。
 

議員平均45歳1割30歳未満


 国会議員は349人で平均年齢は45歳。選挙権、被選挙権とも18歳から与えられ、国会議員の1割が30歳未満だ。日本には今、30歳未満の国会議員は一人もいない。

 選挙の投票率は高い。30歳未満は8割以上。日本をはるかに上回る。国会議員のベンジャミン・ドーサさん(24)は「若者が政策に関わることなくして、未来は開かれない」と主張する。

 若者の声を反映させる仕組みは、社会や組織の中にもある。1986年に若者担当大臣が誕生し、国家機関として若者市民政策庁を置く。94年に制定された13~25歳が対象の若者政策法で、若者に関連する政策決定には若者の声を聞くことが義務付けられた。若く経験が少なくても、発言する場が社会の中で与えられている。290の自治体のうち半数以上で若者会を設置。若者が組織や議論に参画できる。

 同庁のレナ・ニバイ長官は「国家として若者の視点を考慮することを基軸にしている」と強調。若者の社会的な活動には助成金を出して支援する。若者を生かす仕組みは農業、地域社会、協同組合でも同じだ。第二次世界大戦以降、平等の価値観が広がり、上下関係が希薄になった。
 

農業の在り方積極的に発言


 スウェーデンの近隣にはフランスやデンマークといった農業大国が存在する。輸入農作物が国内市場を席巻し、日本と同じような構図にある。若者たちは自分たちが望む農業や地域の姿をつくり出そうと、行動を起こす。小さな規模の農業も大切にする。「持続可能性」がキーワードになっている。日本の現状とはだいぶ違う。

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