フリマアプリ続々と スマホで農産物売買 手軽さ魅力、交流も 消費者と“直結”

農水産物の生産者300人以上が登録するポケットマルシェの画面

 スマートフォン(スマホ)を使いフリーマーケットのようにインターネット上で物品を個人売買する「フリマアプリ」で、農産物に特化したアプリを使う農家が増えている。まとまった量でなくても好きなタイミングで出荷ができ、会話が苦手でも、写真を投稿するだけで自分の農産物をPRできる。近年は複数企業が相次いで参入、今後は農業体験などの商品化も視野に入れる。農家と消費者の距離を近づけるツールとして広がりそうだ。

 茨城県土浦市でレンコンを生産する栗又孝行さん(41)は9月、農水産物のフリマアプリ「ポケットマルシェ」に規格外品「訳ありレンコン」を出品した。出品したのは市場出荷量の1割以下だが、「有効に茨城産のPRができる」との思いだった。スマホで好きな量をどこからでも出品できる手軽さが後押しした。

 商品には、首都圏や愛知、沖縄などの10人以上から購入申し込みがあった。交流ページには「生で食べられますか」などの質問も寄せられた。栗又さんは「感想に励まされる」と畑や作物の写真を投稿し、購入者と小まめにやり取りする。

 ポケットマルシェは、東日本大震災で被災した農・漁業者を応援する活動をするNPO法人が立ち上げた企業が、2016年9月に設立。登録出品者は331人で9割が農家、1割が漁師。本間勇輝取締役は「消費者は生産者直送の食材を購入でき、生産者はこだわりを説明して自分で値付けできる」と利点を説明する。

 販売価格の15%はポケットマルシェの手数料、85%が生産者の取り分となる。同社は宅配大手のヤマト運輸と提携。送料は消費者負担だが、通常料金より安く設定されている。ネット上でクレジットカードで決済する。

 本間取締役は「インスタグラムなど写真投稿サイトが人気で、会話が下手な生産者でも、スマホで農産物や畑の写真を撮って掲載するだけで消費者と交流できる時代」と話す。同社は21年までに出品者を4000人以上に増やし、将来は農業体験も商品として導入する予定だ。大手のメルカリも、ポケットマルシェに投資する予定だ。

 こうした農産品に特化したアプリは増えている。ファブリックが今年1月に開設したファーマーズマーケットには、同社が選んだ生産者約100人が出品し、商品は完売。有線ラジオ放送大手のUSENも、7月から飲食店向けに農産物の仲介アプリを立ち上げた。
 

盗品・転売 防止策が必須


 フリマアプリのような個人取引では転売や盗品売買、不良品売買も起こる。ポケットマルシェは、生業として農畜水産物と加工品の生産と販売実績のある人だけを受け入れている。小売業者が「自身の生産物」と偽って販売するのを防ぐためだ。ファブリックも「新しい農産物アプリでも生産者だけが登録できるようにする」という。

 総務省は「運営側は出品者の入念な審査が必須。購入者による出品者の評価の明示も大切」とくぎを刺す。同省によると、16年のインターネットでの個人向け物販の市場規模は前年比1割増の約8兆円に伸びた。フリマアプリは約3000億円に上る。スマホ保有率が11年の14・6%から16年に56・8%に伸びたことが背景にある。

 同省は「大規模流通とは異なり、極めて個人的な売買で、近隣の個人同士で行っていた農産物のやりとりの範囲がスマホの普及で広がった。売買手続きが簡単になったことが活況の要因」として、今後も利用者は増えるとみる。(齋藤花)

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