県域担い手支援 「実感」伴う成果が急務

 全ての都道府県でJA県域担い手サポートセンターを設置してから1年半。自己改革の柱、担い手支援の実践が着実に進んできた。だが、まだ道半ばである。政府の「農協改革集中期間」が迫る中で、担い手が所得向上を実感できJAの評価につながる「見える化」が急務だ。

 今、JAグループに問われているのは、成果とスピードの二つだ。自己改革の“一丁目一番地”は、農業者の所得向上、地域農業の底上げである。

 農林中金など全国連の「農業所得増大・地域活性化応援プログラム」は、事業費約1000億円を活用し担い手の所得増大に貢献している。今後の営農経済事業を左右するJA全農改革も具体的に動きだした。生産資材価格引き下げに向けた肥料の銘柄集約・事前予約の新たな共同購入運動も始まっている。

 当面の目標は2019年5月の「農協改革集中期間」への対応だ。JAグループは、自己改革の評価を把握するため同年4月、全組合員調査も実施する。次期JA全国大会も同年3月が予定されている。自己改革の大きな節目、一つのゴールでもあろう。残された期間は1年半、約550日。各JAは数字を踏まえ、例えば「ゴーゴー作戦」と名付け、月単位で改革計画の達成状況をチェックし、具体的な目標へ進んでいかねばならない。大きな鍵を握るのが、農業生産の中核を成す担い手の育成・支援の実践だ。

 改めてJAグループの特性と強みを再確認したい。人的つながりを最重視する協同組合である。信用、共済、経済を柱とした総合事業を展開する。それぞれの事業が補完し合い、組合員の経営・暮らしの向上と地域貢献へ強みを発揮する仕組みだ。

 むろん、担い手支援の主役は地域であり、JAである。全国、県域が一体で目標達成に進む。総合事業体としてのJAグループの相乗効果が発揮されなければならない。県域支援組織のメンバーは各JAにいる出向く営農経済担当者(愛称TAC=タック)と共に生産現場で担い手と向き合い、要望を聞き、スピード感を持ち対応することが問われている。

 系統組織の全国・県域・単位JAの“縦糸”と信用・共済・経済の事業間連携の“横糸”で織り重ねた郷土色豊かな衣が地域を覆う時に、地方創生にも結び付く。その意味で県域担い手支援組織は、全国を網羅した総合事業体の強みを生かす試金石と位置付けられる。

 各県域の動きを具体的に紹介した全国担い手サポートセンターニュースは間もなく20号を重ねる。事例は担い手訪問、JA体制支援整備、農業経営管理支援、新規就農、人材育成など項目別に分かれる。事例に学ぶことが重要だ。JA改革の実践と成果を出し、それを組合員、特に担い手が実感する。認知度・満足度を数値化する「見える化」が、組織の存在意義を内外に訴える“武器”になる。

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