播種機ローラーに長い刃 巻き付け マルチに“ミシン目” 千葉県船橋市・吉野信作さん

開発した刃を付けた播種機を動かす吉野さん

ローラーに取り付けた刃でマルチにミシン目を付ける

 千葉県船橋市の農家、吉野信作さん(61)は、ニンジンの種まきとマルチ敷きが同時にできる播種機のローラー部分に、のこぎり状の長い刃を巻き付けることで、マルチにミシン目を入れることに成功した。機械で収穫する際には、マルチを楽に剥ぎ取れることから、省力化につながり、周囲の農家にも広がっている。

 ローラーに巻き付けるのこぎり状の刃は長さ56センチ、深さ1センチほど。ステンレス製のL字形で、ローラー部分に巻き付けることで、種をまきながらマルチを敷き、同時にマルチにミシン目を入れる。種をまく列ごとに、1枚の刃を巻き付ける。収穫時には、マルチの端を引っ張るだけで、圃場から簡単にマルチが剥がせる。

 「刃の切れ込みの間隔や、刃の深さの調整に苦心した。試作品を4、5個作った」と吉野さん。2003年に特許を出願。「猫爪リング」という名で商品化(1枚8640円)し、地域のニンジン農家に普及している。

 きっかけは15年ほど前。吉野さんの地域で、ニンジンのマルチ栽培が広がったことだ。マルチを敷くことで雑草が抑えられて、地温が上がり、吉野さんの畑では10アール当たり収量が6トンと、これまでの倍に増えた。

 マルチ栽培と同時に登場したのが、マルチを敷いたままニンジンを収穫できる機械だ。1本ずつ手で抜いていた時と比べ、収穫は格段に楽になるが、機械のコストが通常の倍の約400万円と高く、導入に二の足を踏む農家が少なくなかった。

 従来の収穫機を使うためには、収穫前にマルチを剥ぎ取る必要がある。手で押しながらミシン目を入れる農具はあったが、圃場を何往復もしなくてはならず、大変な作業だった。

 「もっと楽にマルチにミシン目を付けられないか」。ひらめいたのが、播種機のローラー部分に刃を取り付けることだった。試行錯誤を重ね、完成までに半年かかったという。

 周辺農家も吉野さんの技を活用する。ニンジン50アールを栽培する同市の織戸克敏さん(57)は「リングを使うようになって10年。30分かかっていたミシン目を入れる作業から解放された」と喜ぶ。

 吉野さんのリングを扱う同市の農機具店の前田栄一さん(68)は「いまや、産地にとって欠かせない道具。周辺では農家50戸ほどが使っている。最近は、タマネギのマルチ栽培に使っている人もいる」と広がりを話す。



動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=q7v6ejPTt9w

 

おすすめ記事

動画ニュースの新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは