米価 3年連続上昇も… 小売価格 転嫁進まず 全米販 取引是正へ相談窓口

 産地からの米の出荷価格が3年連続で上向き、実需者が米商品の販売価格を見直す動きが出てきた。スーパーは3年間で1割ほど売価を上げ、これまで値上げに慎重だった業務筋も今秋、パックご飯やおにぎり商品などで価格改定に踏み切った。しかし上げ幅はまだ小幅で、中間流通を担う米卸団体は「米の仕入れ値が上昇しても、(実需者から)不当に低い価格での取引を求められる」と取引の是正へ動きだした。回復基調にある米価が消費現場に浸透し、受け入れられることが、今後の米生産に重要。業界一体の取り組みが求められている。

 実需者が値上げに動く背景には、産地が2014年産米の暴落を契機に、飼料用米などへの切り替えを進め、米の需給改善を図ったことがある。17年産の予想収穫量は730万9000トンとなり、3年連続で過剰作付けを解消。需給環境を踏まえ、産地は相対取引価格を引き上げた。

 スーパー側も一定に値上げを進め、小売価格は、米価が暴落した14年10月(精米5キロ1753円)を基準の100とした場合、17年10月に110まで回復した。

 パックご飯メーカーも価格改定の動きが出ている。最大手のテーブルマークは11月、主力商品の「たきたてご飯国産こしひかり」を始め、30商品の平均7%値上げを決めた。値上げは発売した1995年以来初めて。大手のサトウ食品も11月から、88年の発売以来初めて、6割の商品を対象に1パック当たり10円程度の値上げに踏み切った。

 コンビニ業界もおにぎり商品などで改定が続く。大手のローソンは10月末の商品刷新に合わせて、売れ筋商品の「シーチキンマヨネーズ」や「日高昆布」などのおにぎりを6~30円値上げした。

 しかしこれら実需側の上げ幅は、産地の出荷価格の上昇に比べると、まだ小幅。産地と米卸との相対取引価格を見ると、14年10月の価格(玄米60キロ1万2215円)を基準(100)とすると、17年10月に127まで上昇。上げ幅は小売価格の2倍以上だ。

 窮状を訴えるのが米卸業界だ。実需側へ価格引き上げを要望しても、「消費への影響を懸念し、交渉が難航している」(東京都内の米卸)という。米卸は、仕入れ値の上昇を、スーパーなどへの販売価格に転嫁できずに苦労している。

 米卸約150社でつくる全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)は今月、「(実需者との取引で)不当に安値での取引を求められるケースがある」として、不当廉売の解消に向けた相談窓口を新設。「不当廉売」が疑われる取引は、公正取引委員会に報告して是正を求める。全米販は「米価上昇を中間流通で吸収するのは困難だ」と強調する。(水澤潤也)
 

3者連携で消費提案を 米流通に詳しい流通経済研究所農業・地域振興研究開発室の折笠俊輔室長の話


 消費者には「この価格ならばお買い得だ」という値頃感がある。14年産で一度低くなった値頃感は、簡単に上がらない。スーパー側も消費者に高く映る設定はしづらい。

 単なる値上げは受け入れがたいという消費者に適正な価格で購入してもらうためには、スーパーと米卸、産地が連携した商品開発が必要になる。世代や家族構成、食事場面に合わせた提案はもっとできるはず。従来の10キロ、5キロ袋を店頭に並べるだけでは難しい。少量目タイプなど、商品設計を見直すのも有効だ。

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