海外に 柿 商機あり 中国、韓国スペイン 輸出国は次々増産

米国向けに生産した柿を収穫する農家(和歌山県九度山町で)

 「柿、大好きよ!」――。海外で人気と認知度が高まっている。米国では健康志向から柿の機能性に注目が集まり、フランスでは大手スーパーの定番商品として定着。日本はアジア各国への輸出に加え、今年から可能になった米国への輸出や欧州連合(EU)へのPRに力を入れる。農水省は2020年の柿の輸出目標を現状の倍の6億円に設定。人気上昇を追い風に日本産ブランドを強化していく。
 

機能性受け定番に 需要高まり輸入も 米国フランス


 米国・サンフランシスコに住むジョナサン・フレンチさん(71)は大の柿好きで、米国内の在来種より日本の品種を好む。9~12月に直売所や食料品店に出回るカリフォルニア産の日本品種「富有」と「蜂屋」をよく購入するという。「『蜂屋』は室内に置いて、柔らかくなったらスプーンで食べる。『富有』は硬いうちから渋くなく甘いので、そのまま食べるか刻んでサラダに使う」と話す。

 米国では年間約1万トンの柿が生産され、うち3割以上を輸出。国内需要を賄うために輸入もしており、半分がスペイン産だ。国内需要は年々増え、15年の輸入量は約3000トンで前年の約2倍。16年にニュージーランド産、17年に日本産の輸入を解禁して仕入れ先を広げた。

 ニューヨーク在住のアエレン・ケリーさん(43)は「柿はビタミンやカロテンが豊富で、健康に良いと注目が集まっている」と話す。先住民が保存食として食べていたことから同国では干し柿にもなじみがあり、「日本の干し柿の作り方はインターネットの動画サイトで大人気」という。

 フランスでは国内産やスペイン、イタリア産が「KAKI」の名称で出回る。南部ニース市在住の鈴木孝戸さん(75)は「柔らかい果肉をスプーンで食べるのが一般的だが、4、5年前から硬い柿も人気が出てきた」と話す。

 パリ在住のエミリー・プロティエーレさん(43)は「柿大好き。子どもの頃は野菜市場やアジア食材店でしか見掛けなかったが、今は秋にスーパーや直売所に並ぶ」と、定着を実感する。
 

国内産地 攻勢へ和歌山県と岐阜県


 日本の16年の柿出荷量は19万1500トン。うち640トンを台湾、香港、タイなど8カ国・地域に輸出した。

 国内最大産地の和歌山県は、米国への柿の輸出解禁を受け、同国の品質基準で栽培した「富有」1トンを12月に初出荷する。船便で3週間かけて運び、1月に西海岸地域のスーパーで販売する。店頭価格は米国産の2倍になる見通しだが「機能性や甘さを売りに、所得の高い日系米国人から販売を広げたい」とし、10年後は1000トンに拡大する目標だ。

 岐阜県は、フランスで「富有」のPRに本腰を入れている。今月は、パリの人気食料品店兼カフェ「ダローザ」のオーナーが来日した。県産農産物を使ったメニュー提案やパリでの販路開拓に協力する姿勢を打ち出した。

  各国での柿の人気を背景に、主産国は輸出拡大を見込んで生産を増やしている。国連食糧農業機関(FAO)によると、14年の柿生産量は1位の中国が373万トンと10年前の約8割増。2位の韓国は29万9000トンで同4割増。拡大が著しいのは3位のスペインで、24万5000トンと5倍以上に伸びた。同国では日本種「富有」などの生産が盛んで、7割が輸出向け。今後3年で生産量が倍以上の65万トンに増える見込みという。一方、日本では10年の間、柿の生産量は20万トン前後、出荷量は17~19万トンと伸びていない。総務省の家計調査によると、この5年の柿の年間消費量は一世帯当たり約2500グラムで、1990年代と比べ4割減だ。

 和歌山県食品流通課は「農家の所得向上のためには、輸出振興策を図るとともに、国内消費も上げて行かなければならない」と話す。

 海外市場で日本産との競合が激化する中、JA全農岐阜は「品質を評価してもらい、付加価値ある農産物として市場と売り場を開拓する」と強調する。(齋藤花)

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