茶の輸出拡大 国内の消費も伸ばそう

 国を挙げて農産物の輸出促進を進める中、“稼ぎ頭”として輸出額を伸ばしているのが抹茶を含めた緑茶だ。健康志向を背景に世界では緑茶ブームの勢いが見られる。半面、国内ではペットボトル入り緑茶飲料の普及で、家に急須がないという世帯も少なくない。日本人にもっと緑茶を飲んでもらう消費拡大策が必要だ。

 千葉・幕張メッセで開かれた輸出エキスポを訪れたバイヤーに「何を買いに来たのか」と尋ねたところ、圧倒的に多かった回答が「抹茶」。パリのカフェでは、抹茶や緑茶メニュー目当てに行列ができ、日本各地の茶産地には、海外から本場・日本で茶の研修を受けたいという人が集まる。

 世界共通語となった「抹茶」。茶葉を乾燥させて粉末にして飲む手法は、中国から日本に伝わり、鎌倉時代に発展した。葉を蒸して美しい針状にして飲む煎茶は、江戸時代に開発された。緑茶生産国トップは中国だが、抹茶や煎茶などの緑茶は日本独特の特産であり文化でもある。

 海外の緑茶人気は、数字にも表れている。財務省の貿易統計によると、今年1~9月の緑茶の輸出量は、前年同期比14%増の3472トンと、右肩上がりに推移している。日本茶輸出促進協議会によると「単価の高い抹茶や、煎茶のティーバッグが人気」という。

 緑茶はリラックス効果のあるテアニンや抗酸化力を持つカテキン、頭をすっきりさせるカフェインなど、機能性成分が多く含まれる。朝起きて一杯、食後や仕事の休憩に一杯飲んで「ほっと一息」。近年は緑茶に認知症の予防効果もあるという研究も進む。世界の人々を魅了する緑茶だが、雨量や気温などの気象条件から、生産できる地域は限られる。オランダの東インド会社が日本に買い付けに来た歴史は、いま欧米からやってくるバイヤーの姿と重なる。

 一方で、国内消費は伸び悩み、茶の栽培面積は約4万ヘクタールと、6万ヘクタールを超えていた30年前に比べ大幅に落ち込んだ。コーヒーなど多様な選択肢が増えたこともあるだろう。「緑茶は無料で出てくるもの」という認識が根強いせいか、急須で入れて飲むのが面倒だからか。

 茶消費低迷を打開しようと、茶業界も動きだしている。東京・渋谷で1日から始まった「日本茶アワード」もその一つだ。従来の品評会では、外観の色や形状の美しさなどを重視してきた緑茶を「飲んでおいしいかどうか」で評価する新しいスタイルの審査会で4回目。消費者が最終審査を行うことから、今の消費者がどんな茶を求めているのかが浮かび上がる。

 茶の生産国にいて、緑茶を飲まないのはもったいない。静岡県の小学校では、緑茶でうがいをして風邪を予防している。海外の人が聞いたらなんともぜいたくな使い方だが、これも産地の強み。風邪の季節。予防に殺菌効果のある緑茶を飲もう。

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