どうする超高齢社会 協同の力で範示そう 明治大学副学長 柳澤敏勝

柳澤敏勝氏

 今世紀の地球は、どの地域であれ例外なく高齢化に向かって突き進んでいきます。中でも東アジアの高齢化の程度が著しいようです。例えば日本は、1970年以降、人類史上例をみない速さで高齢化が進んだ国です。現在では高齢者と呼ばれる65歳以上の人の割合が25%を超えています。25%を超えているのは、人口が多く経済規模の大きな国では日本だけです。既に国民の4人に1人がお年寄りという国なのです。

 他方、お隣の韓国は日本以上の速度で高齢化が進んでいます。高齢者の割合が今年中に14%に達すると予想されています。倍化のスピードが日本の24年間に対して韓国はわずかに18年間です。公称13億人を抱える世界第2位の経済大国の中国も、日本より高齢化のスピードが速く、2025年までの23年間で高齢者の数が倍になると推定されています。日中韓の東アジア3カ国は高齢化のスピードと程度の点で他地域を圧倒することになりそうです。
 

2050年日本


 人類長年の夢であった不老長寿社会を実現しつつある日本は慶賀すべき国になったといえますが、50年には高齢者の割合が37・7%(出生率死亡率中位での17年推計)になると予想されています。経済的規模の大きい国の中にあって最も高いイタリアでも35%、資本主義国の最古参の英国では25%弱、移民の国の米国は22%です。

 いかに日本の高齢化の程度が高いかが分かります。問題は今の仕組みで対応可能かということです。税と社会保障の一体的改革が叫ばれてからどのくらいたったのでしょうか。どう考えても、高度成長期の男性の稼ぎ手の完全雇用を前提として組み立てられてきた社会保障システムでは全く対応できません。かといって、土光臨調以降、明確な姿を現した日本型福祉社会論も有効とはいえません。高齢者ほど対応しにくくなる自立自助、自己責任が大前提となっているからです。自助と自己責任を強調する新自由主義福祉社会論では超高齢社会に相対することが難しいのです。
 

ソウル宣言注目


 対応の困難さは韓国にも中国にも共通します。その中で注目に値する取り組みがあります。協同組合都市を宣言した隣国の試みです。ソウル特別市協同組合活性化支援条例(13年)によると、22年までに666万人の組合員(ソウルの人口約1000万人)を擁する「協同組合都市・ソウル」を目指すとしています。格差の拡大や高齢化に悩まされるソウルでは、協同組合が希望の星になっているのです。協同組合が先頭となり、人々の連帯によって高齢社会対応型東アジアモデルを作れるならば世界の範となる、と夢見たいものです。

<プロフィル> やなぎさわ・としかつ 

1951年まれ。92年明治大学商学部教授。2016年から同大学副学長。13、14年、日本協同組合学会会長。著書に『非営利・協同システムの展開』(共著)、『社会的企業』(共訳)など。社会的連帯経済や社会的企業などを研究。

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