日欧EPA 輸入麦差益 菓子用45%引き下げ

 政府は、日欧経済連携協定(EPA)対策として、菓子用小麦の輸入差益(マークアップ、1キロ約17円)を45%引き下げる方針を固めた。パスタ用小麦は同1、2円程度まで下げる。欧州産のビスケットなどの菓子、パスタの関税撤廃で輸入が増えれば、国内菓子・製粉メーカーの経営悪化が懸念されるため、配慮した。だが、輸入麦の価格低下で国内麦の生産に悪影響が及ぶとの懸念は根強い。影響が及ばないよう、慎重な対応が求められる。

 日欧EPAでは、欧州産のクッキーやビスケットなどの関税(13~20・4%)、マカロニやスパゲティなどパスタの関税(1キロ30円)を段階的に撤廃する。日本の菓子・製粉業者は欧州産製品と厳しい競争にさらされるとして、原料小麦を安く調達できるようマークアップ引き下げを求めていた。

 菓子用の小麦は、主に米国産のウエスタン・ホワイト(WW)が使われている。日欧EPA発効と合わせ、米国産を含め日本が輸入する菓子用小麦を45%引き下げる。環太平洋連携協定(TPP)で合意した内容と同水準の引き下げとなる。

 政府は制度運用の詳細をこれから詰めるが、流用防止を確保できるかが課題となる。WWは、日欧EPAで影響が懸念されるビスケット以外にも、和菓子や天ぷら粉などにも広く使われるからだ。政府は引き下げ対象を菓子用小麦に限定するが、他の用途に流用されれば、国産小麦の需要に悪影響は必至だ。

 パスタの原料となるデュラム小麦のマークアップは、1キロ当たり1、2円程度とする。政府の管理経費を残し、実質的に撤廃する。デュラム小麦のほぼ全量はカナダから輸入している。TPPの合意内容を上回る水準。政府は、デュラム小麦の国内生産がほとんどないとして、影響は少ないと説明する。だが、輸入麦の価格低下が、国内麦に影響する懸念がある。

 日欧EPAを踏まえて11月に改訂したTPP政策大綱では、パスタや菓子などの対策として「小麦のマークアップの実質的撤廃(パスタ原料)・引き下げを行う」としていた。国内業者の経営が悪化すれば、国産麦の引き取り手がなくなり、内麦生産への影響が懸念されるとの理由だ。

 だがマークアップ収入は、麦の経営所得安定対策の財源。政策大綱では「引き続き(麦の)経営所得安定対策を着実に実施する」とするが、TPPによるマークアップの引き下げ分も含め、財源を確保する必要がある。 
 

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