パンダはグルメ 上質な国産 おいしいとこだけもぐもぐ 竹林荒廃も防いでます

お母さんパンダ・シンシン(右)と同じ部屋にいる上野動物園のシャンシャン(公益財団法人東京動物園協会提供)

 パンダはグルメで国産志向――。上野動物園(東京都台東区)で今年6月に誕生し、すくすく成長しているジャイアントパンダの赤ちゃんシャンシャン(香香)が、乳離れ後に食べるのは国産の“上質の竹”。しかも竹のおいしい部分しか食べないグルメ動物で、和歌山県のアドベンチャーワールドの子パンダも上質な国産の竹しか食べない。荒廃竹林に悩む地域が多い中、パンダが食べてくれれば荒廃防止や竹林保護につながると関係者は期待する。
 

もうすぐシャンシャンも


 今5カ月齢の赤ちゃんパンダ、上野動物園生まれのシャンシャンの食事はお母さんシンシン(真真)のおっぱいだ。同園の教育普及係は「8、9カ月になれば母乳と並行して竹を食べ始める。1~1歳半で完全に竹食に移行する」と成長を楽しみに待つ。「年を越せば、次第に竹を食べるようになる」。供給元は、静岡県伊豆半島だという。

 現在、同園では12歳のリーリーとシンシンにモウソウチク、マダケ、ヤダケ、シノダケ、クマザサの5種類を1日50キロ与える。パンダはえり好みが激しく、与えられた中から20キロしか消費しないが、食べ残しはニホンザルやアジアゾウが平らげるので無駄にならない。

 指定業者を通じて伊豆半島から仕入れた竹は、動物園に着いた後もしおれないように冷蔵庫の中に保管し、定期的にシャワーで水をかけて新鮮に保つという。
 

余った葉 有効活用 残りはカピバラがぺろり


 和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドで生まれた結浜(ゆいひん)は現在1歳と3カ月。竹を一日1キロほど食べるようになった。4頭の大人のパンダは1日に与えられる50キロずつのうち、15~20キロを消費する。食べ残しはカピバラたちが片付けてくれる。 

 同園ではヤダケ、メダケ、ネマガリダケ、トウチクなどを週に4度、200~300キロずつ京都府と大阪府岸和田市から仕入れる。動物園専門の飼料業者クローバーリーフが京都から竹を集めてくる。

 供給元の岸和田市では、地元の業者が市有地や民有地の荒廃した竹林から上質の竹を切り出す。「結浜が成長してもっと竹を食べるようになれば、仕入れ量が増える」と同園の中尾建子獣医師。岸和田市丘陵地区整備課は「竹は成長が早いので、パンダの餌の需要が増えても対応できる」という。 

 同市が神於山の荒廃竹林からパンダ用の餌を提供するようになったのは、2005年だ。ミカン農家らの高齢化と耕作放棄で竹が拡大繁茂し、植生の悪化が深刻な問題だった。竹の幹は竹炭加工や垣根の材料に使用するなど有効活用の道を探ってきたが、葉の利用方法は分からなかったという。

 アドベンチャーワールドはパンダのために竹を安定して供給してくれるところを探しており、需要と供給がマッチした。「パンダの餌に使い始めてからは竹を切り出すので、その部分の荒廃を防げる」と同課は喜ぶ。 

 中尾獣医師は「パンダの健康に竹は不可欠」という。パンダの腸は竹を消化するために粘液を多く分泌するため、竹をたくさん食べないと粘液を使い切れず体調を崩してしまうためだ。「健康維持に欠かせない食料を供給してもらえるのはありがたく、パンダが環境保護の役に立っていることもうれしい」と話す。
 

1日14時間食べ続け 


 ジャイアントパンダを保護する国際非政府組織(NGO)世界自然保護基金によると、パンダが生息するのは、チベット高原の東端に接する中国北部から南部にかけての標高約1300~4000メートルの山岳地帯。主食は竹の幹、葉、タケノコ。高地に生えるさまざまな種類の竹を食べる。竹は栄養価が低いが、運動量が少ないパンダは竹食に適応した。竹の部分で最も栄養があり繊維質の少ない柔らかい部分を好む。寝る時間と短距離を移動する時間以外は、最長1日14時間も食べ続ける。(齋藤花)

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