食肉輸入が最高 強まる攻勢 対策強化を

 今年の食肉輸入は、過去最高の水準にまで高まっている。牛肉、豚肉ともに国産の減少をきっかけに相場高となった日本市場に輸入がなだれ込み、国産供給が回復傾向となっても輸入増の波は収まらない。日本が輸出国にとって魅力的なマーケットとなっているためだ。今後、日欧経済連携協定(EPA)、環太平洋連携協定(TPP)11で食肉輸入の防波堤が弱まると想定される中、新たな畜産対策が必要になる。

 牛肉の輸入は、セーフガード(緊急輸入制限措置)が発動された冷凍だけでなく、冷蔵も輸入ラッシュが続く。牛肉需要が激減した2001年の牛海綿状脳症(BSE)発生以降ではこれまで最高だった54万トン突破は確実な情勢だ。今回の輸入増は、15年の国産減による枝肉相場高騰をきっかけに、国産と競合する高級な冷蔵肉が先行して16年から輸入が急増し、17年からは低価格の冷凍肉が加わった結果だ。

 豚肉も、牛肉より1年早い14年の豚流行性下痢(PED)で国産減となり、枝肉相場が急騰し、輸入も急増した。さらに北米だけでなく、ロシア向け禁輸で行き場を失った欧州連合(EU)からの豚肉も加わり、今年は過去最高水準だった昨年の86万トンを大きく上回り、90万トンをうかがう勢いだ。

 日本で食べられる肉のうち最も多いのが鶏肉で、食肉消費の45%を占める。国内生産も着実に増え、国産率も75%と高い。だが、輸入増の波は鶏肉でも例外でない。牛、豚の価格が上がる中、値頃な鶏肉需要が伸びた。国産も増産したが、輸入も14年から急増した。焼き鳥などに加工された鶏肉調製品を加えると、鶏肉全体でも17年は過去最高水準が見込まれる。

 日本の食肉需要は、10年ごとに大きく変わってきた。90年代は牛肉自由化で牛肉が伸び、そのあおりを受け鶏肉の割合が減った。2000年代に入り、BSEの発生で牛肉が減り、その隙間に輸入豚肉がどんどん入り込んだ。10年代からは、牛肉と豚肉相場の高騰を機に消費者は鶏肉を求めた。結果的に食肉の需要は鶏肉、豚肉、牛肉の順で、牛肉自由化前に戻った。

 この20年、430万トン前後で推移した食肉需要量が、3年前から急増し、今年は過去最高の470万トンを上回る見込みだ。輸入肉は過去最高の194万トンを超え、200万トンに迫る。この結果、豚肉はこれまで維持してきた国産率50%を初めて割り込むことが確実な情勢だ。

 今年、日欧EPA、TPP11が合意された。政府は、関税率が引き下げられてもセーフガードで対応し、畜産経営への影響はマルキンの補填(ほてん)率アップでカバーできると説明している。だが、関税という輸入防波堤がある現時点でも、輸入ラッシュの波が起こっている。

 国内の畜産生産の振興策を含め、環境変化を踏まえた食肉自給率の維持対策の早急な検討が求められる。

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