ネギ「龍翔」 届けたい 最若手 収穫きょうから 埼玉県美里町福島史昭さん
2018年01月05日

「柔らかい龍翔を食べてほしい」と話す福島さん
美里町の福島史昭さん(32)の栽培する長ネギ「龍翔」の収穫が5日から始まる。「龍翔」は柔らかく甘味があり、おいしいと評判の品種。ただ、柔らかい分、品質を保ちながら出荷するのが難しく、管内での生産者は少ないが、福島さんは「龍翔」の栽培を続けている。「柔らかくておいしい長ネギを消費者に届けたい」という思いを込める。収穫は2月中旬まで。
福島さんは、美里町のネギ生産者の中で一番の若手。地域で耕作放棄地が増えていることを心配し、25歳で就農し、現在は両親とネギ、ブロッコリー、キャベツなどを生産する。「先輩のアドバイスを聞きながら、規模を拡大していきたい」と今年の目標を話す。
「龍翔」は昨年5月末に定植し、秋は台風の影響を心配したが、早めに土寄せを行い、例年通りに収穫できるまで持ち直した。
お薦めの食べ方は鍋。「繊維質が柔らかく歯触りがいいので、湯豆腐やキムチ鍋に入れるとおいしい」と福島さん。栽培への自信がみなぎっている。
キャンペーン「若者力」への感想、ご意見をお寄せ下さい。ファクス03(3257)7221。メールアドレスはwakamonoryoku@agrinews.co.jp。フェイスブック「日本農業新聞若者力」も開設中。
福島さんは、美里町のネギ生産者の中で一番の若手。地域で耕作放棄地が増えていることを心配し、25歳で就農し、現在は両親とネギ、ブロッコリー、キャベツなどを生産する。「先輩のアドバイスを聞きながら、規模を拡大していきたい」と今年の目標を話す。
「龍翔」は昨年5月末に定植し、秋は台風の影響を心配したが、早めに土寄せを行い、例年通りに収穫できるまで持ち直した。
お薦めの食べ方は鍋。「繊維質が柔らかく歯触りがいいので、湯豆腐やキムチ鍋に入れるとおいしい」と福島さん。栽培への自信がみなぎっている。
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TPP 見えぬ国会論戦 疑惑続出、野党欠席 米復帰へ急ぐ政府 「衆院優越」自然承認も
米国を除く11カ国による環太平洋連携協定の新協定(TPP11)の承認案の国会審議の行方が、見通せない状態になっている。承認案は17日に審議入りしたが、国会では財務事務次官のセクハラ疑惑など政府の不祥事を受けて主要野党が審議を欠席し、不正常な状態になっているためだ。政府、与党は27日に衆院外務委員会で承認案採決を目指すが、野党の欠席が続けば、審議が深まらないまま衆院を通過する恐れもある。
先の日米首脳会談では、新たな貿易協議の枠組みを設けることで合意。2国間交渉を求める米国に対し、日本はあくまで米国にTPP復帰を促す方針。日本政府は、米国復帰の呼び水にするため、TPP11の今国会での承認にこだわる。
しかし、今後の日米協議で米国から自由貿易協定(FTA)を求められた場合、農業の追加開放を余儀なくされるなど裏目に出る危険がある。そのため国会審議ではTPP11の内容の是非だけでなく、米国との新たな貿易協議に向けた政府の対応も大きな焦点となる。
ただ、国会正常化の見通しは立たない。野党は、麻生太郎副総理兼財務相の辞任や加計学園問題を巡る柳瀬唯夫元首相秘書官の証人喚問を要求しており、長期の欠席も辞さない構えだ。
条約は、憲法の衆院優越規定で、参院が議決しない場合でも、参院送付から30日で自然承認となる。大型連休前に参院に送付すると、連休中の1週間が使えず、参院での実質的な審議日程の確保が難しくなる。
政府、与党は今国会での承認を確実にするため5月の大型連休明け早々にも衆院本会議で採決し、参院に送付する方針。大型連休前の27日には、外務委員会の審議を終えたい考え。野党欠席のまま審議、採決に踏み切る可能性もある。
一方、TPP11の発効に向けた国内手続きを完了するには、協定の承認とともに関連法案の成立が不可欠だが、関連法案は審議入りしていない。27日の本会議で審議入りする方向だったが、流動的だ。
2018年04月22日

[特区 外国人就労] 識者に聞く 受け入れ経験 生かせ 技能実習生との人材争奪避けて 早稲田大学 堀口健治名誉教授
農作業を支援する外国人労働者を受け入れる国家戦略特区が具体化する。早稲田大学の堀口健治名誉教授に、課題などを聞いた。
──今回の特区には、どのような課題があると見ていますか。
外国人労働者を現場に派遣する「特定機関」となる事業者が大事な役割を持つ。派遣先の仕事内容に合う人材の確保などを担い、農家と労働者を結び付ける役目を持っているからだ。
JAを含め、地域の多様な農業関係者が協力して派遣会社を設立するなどして、農業現場の実態に合った仕組み作りが欠かせない。
制度概要を見ると「派遣という形態で農繁期だけ雇用できる」「特定の仕事だけ行う」といった日本側のメリットばかり強調していると感じる。
農業分野で働く外国人に配慮し、安定した雇用を提供できる環境づくりが必要だ。しっかりと働いてもらうには、相手国や外国人への配慮が欠かせない。
──受け入れや指導にはどう対応するべきですか。
外国人技能実習生受け入れで得たノウハウを生かすべきだ。技能実習生を受け入れている現場では、実習生3人当たり日本人1人の指導者が置かれていることが多い。特区でも、こういったチームを組んでの技術習得が有効と思われる。そのためにも、指導役となる日本人の常時雇用が欠かせない。
外国人技能実習生の採用経験がある現地の送り出し機関や、日本国内の受け入れ監理団体から協力を得ることも重要になる。
技能実習生制度では、受け入れ前に語学学習などを行い、農家が現地に面接に行くなどコストや手間をかけて丁寧な対応をしてきた。そうした教訓、経験を特区の人材確保にも役立てるべきだ。
一方、技能実習生と特区、二つの制度で人材の奪い合いとなるのを避けなければならない。技能実習生と、特区で派遣された労働者が一緒に働くことも想定される。雇用条件の違いなどで、トラブル回避のために想定される課題を整理していく必要がある。(聞き手・猪塚麻紀子)
2018年04月24日
パレット輸送実証 積み荷時間3割減 来月以降推進協
産地と物流業者などが連携し、農産物のパレット輸送導入により、積み荷時間の30%削減を目指す実証実験に取り組む。トラックの運転手不足を受け、流通時の荷役負担を軽減するため、統一パレットを使用、従来の手積みや手降ろしの輸送に比べた省力効果を明らかにする。5月以降に推進協議会を立ち上げ、2020年度末までに削減目標の達成を目指す。
農水省と経済産業省、国土交通省でつくる農産品物流対策関係省庁連絡会議が、産地から消費地まで一貫したパレチゼーションの普及へ、協議会設立を決めた。
実証実験では、輸送の一般的な規格とされる1・1メートル四方のプラスチック製パレットに、移動情報を記録する電子タグを付けた統一パレットを使う。遠隔地で統一パレットの使用が可能な産地をモデルとし、卸、小売り、パレットレンタル会社へと循環させる。記録を把握、管理することで輸送にかかる時間の省力化や、パレット回収率の向上につなげる。
連絡会議によると、農水産物はトラックドライバーの拘束時間が平均約12時間半と、工業製品など他の品目に比べ、その長さが際立つ。一方で積載効率が下がることを危惧し、依然として手積み、手降ろしを続けようとする動きがある。
農水省は「ドライバー不足が深刻化している状況の改善に、現場から声を上げる必要がある。パレットを使用した効果を探り、利用者の拡大を目指す」(食料産業局)と説明する。
同省は、協議会の事業実施者の公募を5月10日まで受け付けている。
2018年04月26日

甲賀流? 手摘み 滋賀県産“新茶第1号” ニンニン
滋賀県甲賀市水口町の農事組合法人グリーンティ土山の茶園で23日、県内で今年初めての新茶の手摘みを行った。市職員らが忍者に扮(ふん)して近江の茶をPRした。2月末まで低温が続いたが、3月末から天候に恵まれ順調に生育。良質な茶葉に仕上がっている。
茶産地の同市は忍者の里でもあることから、今回の茶摘みを企画。市職員や同法人、JAこうかの関係者ら約30人が手摘みで約40キロ、可搬式摘採機で約360キロの生葉を収穫した。参加した市職員は「忍者姿は少し恥ずかしかった。多くの人に新茶を味わってほしい」と話した。
2018年04月24日

[活写] 実りの源 放水開始
岩手県奥州市の胆沢地区にある国内最大級の円筒分水工で21日、田植え前の水田に向けた放水が始まった。
円筒分水工は、水を複数の用水路に公平に配分する農業水利施設で、同地区のものは直径31・5メートルのコンクリート製。1957年に国営事業で設けられ、水の分配を巡る争いの解消に役立った。95年に一回り大きく改修され、今も稼働する。
約10キロ上流の胆沢ダムから届く毎秒約16トンの水を中央部から勢いよくあふれさせ、2本の主要な用水路に分配。胆沢平野の水田約7400ヘクタールを潤す。
施設を管理する胆沢平野土地改良区水利整備課長の佐藤正喜さん(51)は「豊かな実りの秋が迎えられるよう、安定的に水を供給したい」と話す。放水は9月10日まで続く。(富永健太郎)
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=FSFBF-JR9KM
2018年04月22日
若者力の新着記事

農大校卒業生 希望を持って 農業法人で就農実現 極太アスパラ栽培に汗 新潟県見附市「ファーム小栗山」 川上さん、大竹さん
新潟県農業大学校の卒業生2人が今春、見附市の農業法人「ファーム小栗山」に就業し、農業に携わる夢を実現した。川上瑠唯さん(20)と大竹佑馬さん(21)の2人は、農家ではない家庭で育った。農業に魅力を感じて同校に進学し、新しい感覚で経営に取り組む同社の扉をたたいた。現在はアスパラガスの管理に従事し、従業員としてのスタートを切った。
同法人は、25人でつくる集落営農組織だ。経営規模は、水稲が作業受託を含めて40ヘクタールで、大豆とアスパラガスも手掛ける。労働力は新規就業の2人を含めて計4人。同社は、最先端の考え方・技術を積極的に取り込んでいるのが特徴だ。農業生産工程管理ではJGAP認証を取得。ドローン(小型無人飛行機)やリモートセンシング技術も導入した。
従業員2人の採用は、持続的な地域農業の実現と経営の安定化が狙いだ。採用をきっかけに露地アスパラガス5アールとハウス2棟を増やした。
川上さんと大竹さんの2人は現在、直径が3センチの「超極太アスパラガス」の栽培管理に汗を流す。畑32アールに元肥を施し、畝をもみ殻堆肥で覆うとともに、通路に防草シートを敷いて収穫準備を整えた。収穫したアスパラガスは、4月下旬から9月末までの5カ月にわたって地元の農産物直売所などに長期出荷をする。2人は「どんなアスパラガスが出てくるか楽しみ」と目を輝かせていた。
農業大学校からの法人就業は、若者の農業の夢を実現するコースの一つになっている。川上さんは「稲作全般を覚えて、最先端技術の米生産に挑戦したい」と意欲を見せた。大竹さんは「果樹栽培で経営の幅を広げたい」と活躍の場を求める。三沢孝喜代表理事は「夢を持って新しいことにチャレンジしてほしい」と応援と期待を込める。
2018年04月22日

[未来人材] 38歳、水稲+スイカ「やっぱり地元が好き」 新潟県南魚沼市 駒形宏伸さん DJで頂点 次は米
新潟県南魚沼市で水稲とスイカを栽培する駒形宏伸さん(38)は、農業後継者とディスクジョッキー(DJ)の二つの顔を持つ。DJの技を競い合い、世界一になったほどの腕前だ。現在は農業に軸足を置き、農閑期に地元のイベントなどでプレーを楽しんでいる。
場を盛り上げたり、多くの人が喜んでいる姿を見たりするのが好きだという駒形さん。「DJ CO‐MA」として、コンテストで世界一を獲得するなど、2000年代後半に国内外の大会で活躍した。夏は魚沼で農業をやり、冬場は東京に出てDJとして活躍する道を探ったこともある。
「当時は明らかに仕事に身が入っていなかった」と駒形さんは振り返る。出場する大会が農繁期と重なることが多かったためだ。「音楽も農業も奥が深く、どちらも中途半端になるという思いが心をよぎった。葛藤したが、大好きな地元で過ごしたいと思った」と自らを見つめ直した。
すると、農業とDJは手を掛けた分だけ良くなるところが似ていると気付いた。DJの大会では、10~15分のプレーのために1年かけて準備をしていた。スイカも、葉かきや防除、実を付ける場所の選び方など手を掛けるほど品質が高くなりおいしくなると分かった。今年は、若手農家で話題の発光ダイオード(LED)を使ったスイカ接ぎ木苗での育苗にも挑戦する。
腕試しとして昨年、全国規模の米食味コンテストに初めて出場したが、惨敗。「今後は新しい技術を積極的に取り込み、上位を目指していきたい」と意欲を示す。目指すは上位入賞だ。「賞を取れば、地域が盛り上がるでしょ」と笑顔を見せた。(妻木千尋)
2018年04月21日

規模拡大の夢へ全力 イチゴの栽培奮闘 共に独立、会社設立 松山市 向井佑太さん(22)、若宮孝允さん(25)
松山市の観光農園いちごファーム北条で3月末まで働いていた、向井佑太さん(22)と若宮孝允さん(25)が、会社を設立、4月から独立してイチゴ栽培を始めた。当面は借地を含む40アール規模で経営し、ハウス20アールでのイチゴ栽培と露地野菜を組み合わせ、収入確保を目指す。2人は「経営を安定させ、規模を拡大し、地域を盛り上げたい」と意欲を見せる。
愛媛県大洲市出身の向井さんは、2016年に県立農業大学校総合農学科を卒業した。同県内子町出身の若宮さんは15年に同校アグリビジネス科を卒業。共にいちごファーム北条で、栽培技術と経営のノウハウを学んだ。
一緒に働きながら農業経営を語り合い、向井さんが「2人で会社をつくって農業をやらないか」と提案。若宮さんは「いいね」と即答した。共同出資して(株)苺遊園を設立し、提案者の向井さんが代表を務める。
法人にしたのは、Iターン新規就農者にとってハードルが高い農地取得や経営資金、イチゴ栽培の労力を考えたため。多様な販路開拓を見据えて松山市で就農した。
2人の就農を農事組合法人八反地営農組合がバックアップする。既存ハウスや農地探しを協力し、正岡地区内に農地20アール(ハウス付き)を購入、20アールを借地した。
今年は品種を「紅ほっぺ」に絞り、10アール4トンの収量を目指す。2年目以降、品種を増やし、5年以内に10アールの収量5、6トン、売上高500万~600万円の達成が目標だ。新規就農5年後には同組合の一員となり、地域農業の担い手を目指す。
3月まで2人を指導したいちごファーム北条の安田豊さんは「栽培技術を高め、経営を勉強し成功してほしい」と見守る。
2018年04月14日

祖父から農業継承 会社設立、多角経営へ 米に頼らず収入確保 6次化認定国から支援 広島県三次市 安田剛さん(27)
広島県三次市君田町の安田剛さん(27)は、祖父から農業を継承して会社を立ち上げ、町の農業をけん引する。祖父から引き継いだ田で米を作る一方、白ネギを導入して秋冬の収益源にする。もち麦生産にも挑戦し、3月には6次産業化に関する国の事業計画認定を受けるなど、米に頼らない多角経営を目指す。
同町で生まれ育った安田さんは、高校時代まで野球に明け暮れる傍ら、祖父の正壮さんの米作りを手伝っていた。トラクターやコンバインを乗りこなし、繁忙期の戦力として頼りにされていた。
就農を考えるきっかけは、大学2年の夏休み。実家から大学がある広島市に戻る際、正壮さんから「もう少しおって、手伝ってほしい」と頼まれた。「75歳で12ヘクタールもの田を管理し、体は限界だったと思う。学業を続けている間に農業を畳んでしまうのではないかと、不安になった」と剛さん。退学の道を選ぶのに迷いはなかった。
正壮さんから技術を学びながら事業承継を進め、15年に合同会社安田農産を設立。親や妻の助けを借りて事業を広げ、米の作付けは20ヘクタールに増えた。
黒ボク土で水はけが多い利点を生かし、14年から白ネギの生産を始め、現在は60アールに広げた。「従業員を雇うことを想定して11~2月の収入源に育て、米に依存しない経営を確立したい」と狙いを語る。
17年からは遊休農地で、寒冷地に適したもち性大麦「はねうまもち」にも挑戦する。君田の新たな特産に育てようと「六次産業化・地産地消法に基づく事業計画」を国に提出。3月に認定を受け、精麦機の導入や販売促進の支援を受ける。
6次化を応援する人材として国が都道府県に設置する「6次産業化プランナー」を務める古川充さん(64)は「若者らしい素直さと、君田の農業に対する熱い思いを持った経営者だ」と期待。販路開拓や売り方の提案で支えていくという。
2018年04月11日

[未来人材] 31歳、 6次化商品の企画・販売会社を起業 小林味愛さん 「地域で稼ぐ」率先 福島県国見町
国家公務員や日本総合研究所を経て福島県国見町で起業した小林味愛さん(31)は、農産物の新たな販路開拓や6次産業化商品の開発を進める。規格外品を農家から買い取り、デパートなどに売り込む他、廃棄品を化粧品の原料に加工する。町の基幹産業である農業の生産性を上げ、利益を出せる地域づくりを目指す。
東京出身の小林さんは都内の大学を卒業後、衆議院調査局、日本総研に8年勤めたが、危機感を抱いていた。人口減少や高齢化が進む中、地方では交通や教育、医療など生活に必要なサービスが提供できない時代が今後、来るということだ。
地域で稼ぐ仕組みを生み出し、教育など生活に必要なサービスに投資するビジネスモデルをつくる必要があると考え、「地域で主体的にやる人がいないと進まない。自分でやる方が早い」と退職。前職で縁のあった国見町でビジネスモデルをつくることにした。
県や町の基幹産業である農業に注目。2017年8月、農産物の新たな販路開拓や6次産業化商品の開発・プロデュースをする株式会社「陽と人(ひとびと)」を設立した。
17年度は規格外品の桃やリンゴなどを集め、東京で販売を始めた。果実は、自ら農家を訪れ味を確かめ、栽培のこだわりを聞いてから仕入れる。売り先は、接客販売やPOP(店内広告)で販売してくれる店を選ぶ。「情報も一緒に卸さないと、農産物のブランド力は上がらないし、農家の収入も上がらない」とこだわる。
今後もあんぽ柿の皮や剪定(せんてい)枝を活用した化粧品開発など、「もったいない」をなくすビジネスに挑戦する。(塩崎恵)
2018年04月07日

アボカド拡大へ 苗始めます 耐寒性追求し接ぎ木多品種で需要に対応 新潟市南区 関根邦仁さん
新潟市南区でアボカド栽培に挑戦する関根邦仁さん(36)は、地域での栽培拡大を見込んで、接ぎ木苗生産に乗り出した。現在は、新潟県の寒さや病気に強い品種を台木にしようと、品種選定を進めているところ。「ハス」などが有力だ。今年は500本を目標に苗木を作り、栽培の裾野の拡大に貢献する構え。併せて地元の農家に生産を呼び掛ける。
関根さんは、熱帯果実であるアボカドの栽培を始めて、今年で4年目を迎えた。アボカドには多彩な品種があるものの、こうした品種の種子の流通量が少ないことなどが課題となっている。関根さんは、さまざまな品種のアボカドを栽培したいという需要に対応できるように、接ぎ木苗を手掛けるようになった。
関根さんは「アボカドは樹勢が強いので、一年を通じて接ぎ木作業をすることができる。種子の発芽率は100%なので台木の確保は容易だ。床土は赤玉土などで十分。接いで半年から1年で出荷できる」と話す。穂木には、自園で栽培する40ほどの品種を活用。ハスなどの台木と相性の良い品種の組み合わせも同時に探している。
関根さんは今後、接ぎ木苗のネット販売も視野に入れ、経営の強化とアボカド栽培の拡大にもつなげていく考えだ。果実は、「雪国アボカド」としてブランド化をしていく。
関根さんは「アボカドは今後、栽培面積の拡大が見込める果樹だ。苗木生産は経営の一環として取り組みたい」と強調。今後の自園地の規模拡大と仲間づくりを視野に入れる。
2018年04月03日

[未来へ 5] 諦めぬ交流が実結ぶ
電気柵の維持管理や道路脇の草刈りや清掃・・・。山梨県早川町の古屋集落でこの活動を担うのは住民だけではない。集落に通う町外の10、20代の学生や社会人だ。
2010年に6世帯8人になった同集落。地域の維持管理が難しくなるとの危機感をきっかけに、住民はボランティアの受け入れを始めた。
「食事の世話も寝泊まりも当初は不安だったけれど、若い人と一緒に作業すると気付いた。もてなすんじゃなく、対等なパートナーと考えたら楽になった」と兼業農家の望月美佐江さん(64)。地元以外の若者をサポーターとして迎え、伸びしろならぬ、「関わりしろ」を少しずつ広げていった。
交流を続けると、16年には子育て世帯が移住してきた。長年、自治会長を務める望月信保さん(67)は「諦めなかったら、にぎやかな集落になった」と笑顔だ。
移住者と集落のマッチングを担ったのは、同町にある日本上流文化圏研究所。中間支援組織として1996年の発足以降、空き家対策や情報発信などを担う。移住者だけでなく、外から通い、支える町の応援団をつくってきた。
同研究所を通じ、同町に通う東洋大学の山崎義人教授は「移住、定住だけが正解ではない。いろいろな人が関わり、間口を広げることで地域が持続していく」と考える。
地域や住民との多様な関わりを持つ人々は「関係人口」と言われ、広く浸透してきた。だが、その言葉の広がりに、農山漁村をテーマにした雑誌『ソトコト』の編集者、竹中あゆみさん(31)は、怖さも感じる。「関わりしろ」を育むことで地域が前に進む一方で若者の関わりの姿勢も、問われている。
竹中さんは、プライベートで松山市の忽那諸島に通う。フェリーや飛行機を乗り継ぎ島に通った回数は5年間で20回。来訪を心待ちにしてくれる島民がいる。ただ、「地域に対し何ができているのか。住んでいないのに、表面的に関わって本当によいのか。『結局は住まないんでしょ』と感じる住民がいても、それは当然」と自問しながら島に向う。
島の美しい景観もおいしいミカンも、厳しい自然と日々向き合う住民がいてこそ、享受できるものだ。
だから竹中さんは、「関わる人の数を増やせばいいというメッセージが広がるのは怖い。若者は関わってあげているという立場じゃなく、時間を割いてお邪魔させてもらう気持ちを持ってほしい」と願いを込める。
山崎教授は、「関わりしろ」を広げる重要性は、農家の育成にも当てはまると説く。「専業農家を目指す一部の層だけでなく、多様な農村、農業への関心を踏まえて若者と関わることで、JAも産地も新たな展開が見えてくるはず」と呼び掛ける。 (若者力キャンペーンを終了します)
<現場からの提言>
・「関わりしろ」を育む
・対等なパートナー
・学ぶ姿勢で地域に入る
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2018年03月31日

[未来人材] 31歳、 農業と林業 地域の基幹産業を担う 北海道むかわ町・宮崎雄次さん ダンスで産地発信を 動画再生何と9万回超
北海道むかわ町の宮崎雄次さん(31)は、動画で農業をPRする。人気ダンスユニットのプロモーションビデオ(PV)を農業風にアレンジした動画は、再生回数19万回以上の大ヒット。林業者としても歩み始め、地域の基幹産業である農業と林業の“二足のわらじ”で地域を盛り上げようと奮闘する。
ヒットとなった動画は2015年秋、所属するJAとまこまい広域青年部の盟友の結婚式で公開するために作った。人気ユニットのヒット曲のPVを参考に、盟友らと協議を重ねて農閑期に練習した。
トラクターのライトで照らし、農作業着でダンスするなど農業風にアレンジ。現在は公開されていないが「JA Soul Brothers」として公開したところ、2週間足らずで再生回数10万回を突破。「農家をPRしながら、面白く格好良く作りたかった」と振り返る。テレビや雑誌でも取り上げられ、PR効果は抜群だった。
これを機に、青年部で地元むかわ町穂別の特産物であるマクワウリの一種「ともりん」と「ほべつメロン」、米のPR動画を作成。ストーリー性を持たせ、16、17年に公開した。札幌市のDJの協力を得てダンス動画も作り、8000回以上再生された。動画は「情報量が多く、注目されれば爆発的。作る過程で仲間との絆も深められる」と強調する。
16年に青年林業士の資格を取得し、農閑期の冬場も山に入る。「林業は農業以上に人手不足。生まれ育った町の産業を担っていく」と意気込む。林業のPR動画の作成も構想し、地域を盛り上げていく。(川崎勇)
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2018年03月31日

[未来へ 4] 地域の本気 思い伝え
ブドウ「ピオーネ」の産地、岡山県高梁市。標高350メートルの山間部にある同市宇治町に、ここ10年で15組34人の若者らが移住してきた。
呼び込んだのは行政ではなく、住民たち。空き家の交渉、仲介に引っ越しの手伝い。空き家の掃除や修繕。その積み重ねが、担い手確保につながった。
農家の牧野義廣さん(63)は「若い人の数を増やそうと思ったら成果は出なかった。若者とひとくくりで見ず、この地に興味を持つ一人一人と一生懸命、対話した」と振り返る。
長年、都会に子どもを送り出してきた側の過疎地。どうすれば若者が来るのか。牧野さんは仲間と話し合いを重ね、若者の立場を思いやって、一つずつ、具体的な行動を積み重ねた。
例えば会合。牧野さんは若い頃、毎晩のようにある地域の集まりが負担だった。だから、新規就農者の負担にならないよう、住民に協力を呼び掛けた。
牧野さんに教えてもらいながら、脱サラしてブドウ農家となった神奈川県横須賀市出身の鈴木雄一さん(39)、伊藤明さん(39)。2人は10年前、野望を抱いて移住した。海外輸出やインターネットで稼ぎ、JAに頼らない新しい農業を切り開く──。
だが今では、「JAブランドがあるから売れるし安定出荷できる。個人での海外輸出はうまみが乏しい」と伊藤さんは実感する。実際に挑戦し、失敗したから「現実が分かった」とも言う。
鈴木さんは振り返る。「親も友人も会社の同僚も、農業は甘い世界ではないと言った。でも、地域の人は僕たちを歓迎し、真剣に意見を聞いてくれた。だから、頑張ってこられた」。農家として育てたいという牧野さんら地域の本気の思いが伝わり、学びや感謝の気持ちにつながった。
富山県朝日町の笹川地区。子どもの声が復活し、少しずつにぎわいを取り戻す。受け入れる移住者は年1組程度。移住希望者は地区に事前に通い、住民と対話を重ねて双方が移住を決める。
「一気に人口を増やすと、住民は疲弊する。地域の良さも考えも、理解してもらった若者に来てほしい」と住民の小林茂和さん(71)は考える。
2010年。同地区で、移住者が大麻を栽培し逮捕される事件が起きた。住民にとって衝撃は大きく、一時は移住者全体に拒絶反応も芽生えた。それでも「若い人を受け入れないと地域が廃れる」と諦めなかった住民たち。若者と共につくる地域像に向けた話し合いを重ねた。小林さんは「若者を数ではなく、個として向き合う過程に、住民主体の地域づくりの鍵があった」と振り返る。
人手不足が深刻化し、どの産業もどの地域も若者を求めている。ただ、単に「数」を補うためと考えると、定着しない。その力も発揮できない。新規就農の分析をする東京農業大学の堀部篤准教授は「地域が困っているから若者を受け入れ農家数を増やすのではなく、一人を育てる意識が重要。その積み重ねが、結果につながる」と指摘する。
<現場からの提言>
・成果急がず対話を
・一人を育てる意識で
・挑戦も失敗も糧になる
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2018年03月30日

[未来へ 3] つながりを生かして
強い農業を目指そう。北海道猿払村。若い農家の合言葉の一つだ。酪農専業地帯。酪農家60戸の3割に20、30代の後継者がいる。若者の考える“強さ”とは何か。同村で60頭を飼う工藤翔さん(29)は断言する。「コミュニティーを広げること」
工藤さんが家業を継いだのが10年前。同世代の酪農家はわずか数人だった。集まっても楽しいと思えず、誘われても会合は避けてきた。しかしここ数年は、同世代と集まり、将来像やイベントの構想を語り合う。「つながるのは楽しいし、視野が広がる」。意識は変わってきた。
若者でつくる「さるふつ村楽農塾」。リーダーで45頭を飼育する森原圭祐さん(29)は、妻の実家である同村で4年前に就農した。同世代に声を掛け、話し合いを重ね、視察やイベントなど前向きな提案をするよう心掛けてきた。「村の雰囲気をつくるのは、立場や年齢は関係ない。風通しの良い農業をつくるのは、自分たちだ」と考えた。
新規就農を目指す若者から、自然と声を掛けられる場面も増えた。「村に入ってきた若い農家をとどめる役割を自分たち若い世代のコミュニティーが担っている。酪農家は地域の守り手でもある。1人ではなく、つながらないと地域農業の基盤は守れない」。森原さんは力を込める。
森原さんら若者たちが、何かを成し遂げたわけではない。それでも若い就農希望者が増え、雇用就農やヘルパーを経て、離農する牧場などを継承する。村にはそんなサイクルができつつある。札幌市出身の酪農ヘルパー、有吉里生さん(26)は「若い世代こそ地元は地元で固まりがちだけど、ここはよそ者に対しても壁を作らないから、入りやすい」と感じる。
山形県酒田市の飛島。平均年齢70歳の200人の小さな離島に、若い移住者が2013年、合同会社「とびしま」を立ち上げた。加工や飲食店など島で廃れていった事業を復活させ、現在は10人の雇用を生む。
島に田んぼはないから、本土の米農家とつながる。そんな外との結び付きを昔から自然と重んじてきた島の人から見習い、同社は事業を展開する。ただ、副代表の松本友哉さん(29)は「コミュニティーを開放することが、島独自のルールを曲げることになってはいけない」と心得る。
つながりを育む地域と、新たな発想や行動をもって結び付く若者たち。和歌山大学の佐久間康富准教授は「コミュニティーが開かれている地に、若者が集う。若者は世代や組織、コミュニティー同士をつなげる力もある」と指摘する。ただ、若者に対して「地域にあるしきたりや歴史を尊重することが欠かせない」と注文もする。歩み寄りの中に、若者力が育まれる。
<現場からの提言>
・話し合いを積み重ねる
・風通しの良い関係育む
・地域のルールを尊重
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2018年03月29日