地ビール人気アップ ホップ 地場産でトップ狙え

与謝野町産のホップを使った「与謝野絶景ビール」(京都府与謝野町で)

ホップの生育を確認する大西さん(奈良県曽爾村で)

 近年のクラフトビール(地ビール)ブームを受けて、新たにホップの栽培に乗り出す動きが出てきた。ビールの香りや苦味を左右するホップだが、大半が欧州などの外国産。国内でも生産されているが、大部分は大手酒造メーカーとの契約栽培で、「国産ホップを使った地ビールは少ない」(関西の醸造所)と、味の追求や差別化に小規模醸造所などが注目している。ホップ栽培に好機ありと、京都府や奈良県の生産者らは意欲を燃やす。
 

小規模醸造所が注目 


・京都府与謝野町

 京都府与謝野町では地ビール人気の中、国産ホップがほとんど流通していない点に着目し、2015年度から栽培が始まった。町が収穫したホップで醸造する「与謝野クラフトビール醸造事業」を開始。今年度初めて地元産ホップを使った「与謝野絶景ビール」(350ミリリットル)を販売した。茨城県の木内酒造に委託し、3000缶を製造。町内の小売店で限定販売し、1缶880円の高値ながら人気を集めた。

 同町は米に次ぐ品目としてホップを振興。国の地方創生加速化交付金を活用し、資材購入費などに充てた。「ホップやビールを特産にしたい」(農林課)と意気込む。

 農家2戸でつくる京都与謝野ホップ生産者組合が栽培する。品種は「カスケード」や「ナゲット」など米国から輸入した品種を中心に、30アールで栽培を始めた。今年度は約50アールに拡大し、収穫量は約500キロと初年度の約5倍に増えた。

 販売先は、国内の小規模醸造所だ。今年度は、三重県や京都府の醸造所など6社に販売。年々、ホップの販売量や販売先は増えており「作った分は残らず売れる」(同課)と言う。

 25アール栽培する「あっぷるふぁーむ」の山本雅己代表は「ホップは単価が高く、作りがいがある作物。自分のホップを使ったビールもうまい」と満足気だ。地域おこし協力隊として同町に移住した好地史さん(38)は、同法人で栽培を学んでいる。「将来は与謝野町に醸造所を構え、ビールを造りたい」と夢を描く。

・奈良県曽爾村

 奈良県曽爾村では、地域おこし協力隊として奈良市から移住した大西伸幸さん(36)が、地元産原料を使ったビール醸造を目指し栽培を始めた。

 昨年5月に80株の苗を定植し1・4アールで栽培。品種は「かいこがね」の他、海外品種も生産する。10月に約2キロを収穫、今年試験醸造する予定だ。将来は大麦も生産し、オール曽爾村のビールが目標だ。

 ホップは、多年草で同じ株から10年以上収穫できるが、本格的な収穫まで約3年。村によると80株当たりの収穫量は、1年目は約5キロ、3年目には約50キロを見込む。乾燥させると重さが4分の1になり、乾燥ホップは1キロ約5000円で販売できるという。

 現在はドイツ産ホップなどで「曽爾高原ビール」を製造する曽爾村観光振興公社第一営業部の立花弘晶部長は「地元産原料は水とユズを使っているが、ホップも加わればセールスポイントになる」と期待する。
 

国産はわずか 産地化の好機


 全国ホップ農業協同組合連合会によると、17年度の国内の乾燥ホップの生産量は約270トン。ほとんどが大手酒造メーカーとの契約栽培で、生産者の高齢化などから生産量は減少傾向にある。

 財務省の貿易統計によると、乾燥させて固形化したホップ(ペレット)の輸入量は約3000トン(16年)。多くがドイツやチェコ産だ。外国産のペレットと異なり、国産は生や冷凍で利用でき、香りなどに違いが出る。

 ビールの資材や設備を販売する「きた産業」(大阪市)によると、地ビールを製造する醸造所の数は全国で269カ所(17年10月現在)と、5年間で3割増加。日本ビアジャーナリスト協会は「国産ホップを使った地ビールはまだ少ない。国産を使いたいと考えている醸造所は多い」と指摘する。(藤田一樹)

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