パン用小麦 「ゆめかおり」 契約栽培が拡大 茨城県坂東地域

 茨城県坂東地域でパン用小麦「ゆめかおり」の契約栽培が進んでいる。この5年間で生産量はゼロから336トンに拡大し、農家の収入増につながった。生産者がタンパク含有率など小麦の品質データを製粉会社に公開し、データから生産圃場(ほじょう)までさかのぼれる体制を敷く。実需の信頼は高まり、取り扱うパン店は45社に広がった。

 栽培は2013年に50アールで始まり、17年には約70ヘクタール、圃場数253に上る。製パンに適したタンパク含有率13%以上を達成するため圃場管理システムを導入。圃場別に生育中の小麦のタンパク含有率が分かるなど、肥培管理がしやすくなった。

 タンパク含有率は出穂期の追肥で高める。葉色診断と追肥を組み合わせた結果、安定して13%以上を確保する技術も普及してきた。

 生産には茨城パン小麦栽培研究会の会員5人が取り組む。珍しいのが乾燥機ごとに行う全ロット検査だ。ロット別にタンパク含有率や水分、千粒重、容積重などを分析し、その品質データは製粉会社に公開。産地視察で品質評価を受け、改善に結び付けてきた。

 契約する製粉会社は3社となり、「ゆめかおり」を使うパン店は東京都内の有名店にも広がった。製粉会社の前田食品(埼玉県)は「顔が見え、信頼のおける産地」と評価が高い。今年度から地元境町の学校給食用パンにも使われている。

 坂東市で48ヘクタール栽培する染野実さんは「生産した小麦がパンになり、おいしいと評価が返ってくる。今までなかった経験で、さらにいいものを作ろうという思いが強くなった」と話す。

 パン用小麦は経営所得安定対策のパン加算が受けられるため、県は麦茶用大麦からの転換を進める。県によると、大麦に比べて収入は10アール当たり4万1000円増え、産地全体で2800万円増の経営効果をもたらした。

 産地と実需を結んだのは県や試験機関、坂東地域農業改良普及センターだ。県は縞萎縮(しまいしゅく)病抵抗性があり、製パン適性に優れた「ゆめかおり」を10年、パン用品種に認定し、産地化を進めてきた。普及センターは「生産者から実需へ直接販売する例が少ない中で産地が積極的に取り組みを公開した成果」と評価。産地として評価される生産量1000トンを目指す。

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