水田農業の将来 政策転換の行方を注視

 稲作農家が将来にわたって安定経営できるのか、2018年は重要な節目となる。米政策改革の成否はもちろん、土地利用型農業の課題である農地集積の動向も注視する必要がある。

 規模拡大は生産費を下げ、農家所得向上の鍵となる。一方で大規模ほど米価が下落した時の打撃は大きく、一種の賭けになりかねない。その明暗を分ける需給をどう安定させるか、政府には水田農業の将来展望に立った大局的な姿勢を求める。

 安倍政権の農政の柱、米と農地集積、農協を巡る政策改革は、それぞれ影響し合う。18年は米政策改革がヤマ場を迎える。生産調整の配分から国が手を引いて民間主導になる中で、需給と価格の安定を確保できるかが最大の課題だ。

 米については、さらに課題がある。コスト低減だ。政府は、担い手の生産費を10年間で全国平均対比4割削減する政策指標を掲げる。60キロ当たり9600円。1万円を割り込む米価は、農政改革を貫く「農業の競争力強化」の象徴ともなる。この議論に端を発し、肥料・農薬などの資材価格引き下げが農政の大きな課題となり、現在、JAにも実行が要請されている。

 農家の所得増大につながる課題であり、JAグループ挙げての自己改革加速を期待したい。ただ、生産費下げの寄与度からすると、肥料費は全算入生産費(16年産60キロ当たり1万4584円)のうち1047円で7%。農薬費は840円で6%だ。それに対し農機具費や労働費はそれぞれ2874円(18%)、3886円(27%)で、ウエートはもっと大きい。

 これらは規模のメリットが発揮され、15ヘクタール以上の層の農機具費は2139円(20%)、労働費は2393円(22%)にまで下がる。政府が担い手への農地集積を重視するのには、こうした理由がある。だが、具体策となる農地中間管理機構(農地集積バンク)の実績はよろしくなく、18年度予算案では17年度に引き続き重点配分した。

 農地集積は、政府が笛を吹けば現場が踊るというものではない。特に農地集積バンクについては、規制改革会議(当時)が押し込んだ効率重視の発想に疑問の声が依然として大きい。

 指摘したいのは、規模拡大が必ず農業経営のプラスになるという明確な見通しが見えないことだ。18年産の米政策見直しが懸念を膨らませる。前段で10アール7500円の米の直接支払交付金が廃止され、30ヘクタール規模では225万円の減収になる。さらに分からないのが出来秋の米価で、需給次第だ。暴落した14年産の場合、水田作経営の平均粗収益は前年比20万円の減収となり、20ヘクタール以上規模では減収幅が334万円にも達した。規模拡大のマイナス面が出た格好だ。

 18年産の米価は個々の経営にとどまらず、今後の水田農業の将来展望に大きな影響を及ぼしかねない。需給動向の注視と政府の機動的な対応が必要だ。

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