鳥インフルエンザ 厳重な警戒と検証早く

 香川県さぬき市の肉用鶏農場で、H5型鳥インフルエンザウイルスが確認され、11日深夜から農場内の鶏の処分が始まった。迅速な封じ込めと併せ、養鶏関係者にはこれまで以上の厳重な警戒が必要だ。今回の発生の早急な検証も欠かせない。

 ウイルスが確認されたのは、最大飼養羽数10万羽の養鶏場で、発生当時は5万1000羽が飼育されていた。関連農場にいた4万羽の肉用鶏を含めて、全羽を処分する。

 この冬、国内では初の事例になるが、周辺の国や地域の情勢を見ると、いつ日本にウイルスが侵入してもおかしくない状態だった。冬は越冬地を求め、渡り鳥が日本に飛来する時期。さらに東アジアでは人の往来が激しくなる春節を迎え、韓国の平昌ではオリンピックも控える。

 防疫対策の基本はまず予防。病原ウイルスに侵入されないことが第一だ。しかし日本周辺のロシア沿海州や朝鮮半島、中国大陸には、広くウイルスが存在するとみられ、ここから渡り鳥がウイルスを運んでくる。昨年6月の疫学調査チームの報告書では「わが国へのウイルス侵入リスクは高いと言わざるを得ない」とまとめ、引き続きの警戒を促していた。

 ウイルスのまん延ぶりを反映してか、昨年末から今年にかけて、韓国や台湾では鳥インフルの発生が続いた。

 韓流ドラマが韓国の宮廷料理を取り上げて以来、韓国内では肉用アヒルの飼育が熱を帯び、飼育場が急増した。ブームに乗って衛生対策をおろそかにしたアヒル農場が、鳥インフルの温床になっているとの指摘がある。実際、韓国では今冬、肉用と種用を併せ11カ所のアヒル農場で高病原性鳥インフルエンザが発生している。一方、台湾でも毎月、鶏で発生があり、11、12月では16件を確認した。

 技能実習生の帰省、従業員の海外旅行も含めた人の流れのチェック、資材の搬入、野生動物対策の点検を今一度、進めたい。テレビカメラを設置することで野生動物の意外な侵入ルートに気付いた例もある。

 防疫対策は、ウイルスの侵入阻止が基本だが、もし侵入されてしまった場合は、早期の発見と通報、迅速かつ的確な初動対応がまん延防止の鍵だ。今回は異常に気付いてから通報するまで、迅速にできていたのか、もし対応と診断に遅れがあったとしたらどこに問題があったのか、今後の検証が必要だ。

 農水省の防疫指針では、平均の2倍以上の死亡率、5羽以上のまとまった死亡、といった届け出があった場合などに、家畜防疫員を現地の農場に派遣するとしている。逆に言えば、いつもより倍以上の鶏が死亡していたり、5羽以上がまとまって死んだりした場合、農場主は鳥インフルを疑ってかかり、関係機関に通報しなければならない。

 渡り鳥はまだ飛来する。油断は禁物。養鶏場には引き続き厳重な警戒態勢が求められる。

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