米輸出の課題 官民一体 戦略高度化を

 消費減退が続く国産米の仕向け先で海外市場が有望視されている。米輸出を本格的な成長軌道に乗せるには、官民一体で戦略を高度化することが急務だ。

 農水省によると2017年1~11月の援助米を除く米輸出量は1万556トン(約28億円)。過去最高ペースとなるが、国内生産量(約730万トン)の1%に満たない。伸び幅も毎年2000トンほどだ。購買するのは現地で暮らす日本人や一部の富裕層で、市場開拓の進展を評価できる段階にはない。

 これまで米の輸出は国内から運び出すことに注力し、各国の市場ニーズをくむ視点に欠けていた。世界で生産される米4億8000万トン(精米ベース)の8割は長粒種のインディカ系品種で、日本の短粒種といったジャポニカ系品種は2割にすぎない。海外の米との価格差も大きく、香港では日本産米がタイ産や中国産の3倍近い値段で並ぶ。近年は第三国で生産された安価なジャポニカ系品種が存在感を増してきた。

 日本産米の品質は世界に誇れるものだが、勝負するのは食文化や生活様式が異なる海外市場だ。小売店に日本の米を並べれば勝手に売れる状況にはない。こうした課題を踏まえて、輸出戦略を描くことが前提となる。

 ハードルばかり目立つが、輸出増につながる好材料もある。和食人気の高まりだ。国外の日本食レストランの店舗数は約11万8000店(17年10月現在)で2年前から3割増えた。店で使う米は日本産以外が多いが、調達元の切り替わりが進めば大きなてこ入れとなる。新興市場での動きも注目したい。JA全農が中国のインターネット通販大手と組んで日本産米の販売を始め、食品メーカーは炊飯器が普及していない海外でも日本と同品質で提供できるパックご飯の売り込みを進めている。

 民間がこじ開けた販路を太く確たるものにするには、オールジャパン戦略の構築が欠かせない。海外では「コシヒカリ」「あきたこまち」「ゆめぴりか」と日本産米同士の競合も発生し、パイを奪い合っている。世界を見て農林水産品の輸出で一定に成功しているケースは、戦略品目で統一ブランドをつくり、国が産地や流通業者を巻き込んでプロモーションを展開し、多額の費用を投じている。

 日本でも、政府が米や米加工品の輸出プロジェクトを始動させた。取り組む産地や事業者、ターゲット市場を絞り込む中身となる。輸出機運の高まりを後押しはするが、輸出大国の国を挙げた戦略と比べると“現場任せ”の印象がある。

 米が世界市場で闘える力を磨き、現地で新たな消費を喚起するには時間がかかる。和食ブームといった追い風が吹き始めた今こそ、基幹作物である米の輸出に、予算や知恵、人材を集中投下する時だ。起点となる生産現場の意欲を高める施策が必要なことは言うまでもない。日本の本気度が問われている。

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