おむすびの日 助け合い考える契機に

 1月17日は「おむすびの日」。1995年のきょう、阪神・淡路大震災が発生した後、ボランティアがおむすびを炊き出しし、被災者が励まされたことに由来する。助け合いの大切さを考えるきっかけにしよう。

 「おむすびの日」は、官民や有識者らでつくる「ごはんを食べよう国民運動推進協議会」が制定した。この大震災での体験を機に「ごはんを食べよう国民運動」に取り組み、食料、特に米の重要性とボランティアの善意を広める活動をしている。

 阪神・淡路大震災発生後の大混乱の中、炊き出しに駆け付けたのは、地域の農家やJA女性部員だった。自家用の米で作ったおむすびを被災者に届けた。

 ボランティアとして被災地に赴き、助け合うことの大切さが再認識されたのは、この大災害である。東日本大震災が発生した時も熊本地震の時も、同じように女性部員らがおむすびを作り被災者に寄り添った。逆に、支援した人たちが思わぬ災害で被災した時に、支援された人たちが駆け付け、励ます動きもあった。まさに「情けは人のためならず」である。

 文化庁の「国語に関する世論調査」(2010年)で、興味深い結果がある。このことわざを「人に情けをかけると巡り巡って自分のためになる」という本来の意味で捉えていた人は46%。「人に情けをかけて助けてやることは、結局はその人のためにならない」と捉えていた人とほぼ同数だった。

 間違った認識の広がりは、市場原理優先の経済理論のような考え方が社会全体に広がっていることの証左であろう。「おむすびの日」を、本来の意味を確認し、「結び」の大切さを再認識する日としたい。

 おむすびは昔、神の力を授かるために米を山型(神の形)にかたどって食べたともいわれ、神様と人を結んできた。そして、人と人とを結ぶ。

 単におなかを満たすだけではない。おむすびを差し出し、それをいただくというシンプルな行為から信頼関係が築かれる。青森県弘前市で癒やしの場「森のイスキア」を主宰した佐藤初女さんの「おむすびを食べて自殺を思いとどまった青年」の話は有名だ。

 「同じご飯なのに、おむすびの方がおいしい」といわれるのは、手で握るからこそ、人とのつながりを感じやすいからであろう。手軽に持ち運べるので、運動会や遠足といった楽しい思い出、あるいはつらく心細い時に食べてほっとした思い出と結び付きやすい。

 さらに言えば、おむすびは日本独特の粘り気がある米粒と米粒が結ばれて出来上がる。外国産の米のようにパラパラした米では結び付かない。

 いまは、毎日のように記念日がある。その中で、「おむすびの日」は結ぶ、縁というものを大切にするきっかけにしたい。若い人にほど伝えたい、かけがえのない日である。

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