サクランボ傷つかない 鮮度保持 輸出パック 保湿と緩衝 シートで実現 山形大学工学部・東原准教授

シリコンシートを底面に敷いたパックを持つ東原准教授。右手にはゲルシートの見本を持つ(東京都千代田区で)

 山形大学工学部の東原知哉准教授は16日、科学技術振興機構の新技術説明会で、サクランボの鮮度保持能力の高い輸出用パッケージを開発したと発表した。鮮度保持には、輸送中の保湿と振動が課題となるが、寒天状のハイドロゲルシートと振動を和らげるシリコンシートをパック内に敷いて解決。JA全農山形との共同輸送試験では、台湾に輸出した7日後も腐敗率を1%以内に収めることに成功した。

 主産地の同県は、輸出を目指しているが、試験段階で輸出量は1トンにも満たない。輸出増に向けた課題の一つが鮮度保持だ。輸送中に乾燥し過ぎると光沢を失い、果粒の割れやしぼみ、果梗のしおれや褐変(かっぺん)が起きる。過湿になると結露しかびが発生する。

 東原准教授は、95%以上が水分で、保冷・保湿効果がある寒天状のハイドロゲルに着目。寒天成分のアガロースを主体に、強度を高める材料、防腐剤、防臭剤を混ぜてシートにし、パックの底に敷いた。

 その上に、シリコン製の緩衝シートを重ね果実を乗せる。軸はシートの穴を通し果実を固定する。シートのくぼみを果実の形に合わせ傷みを抑えた。金型の製作に3Dプリンターを活用し、改良を重ねた。

 「佐藤錦」「紅秀峰」を成田空港から航空便で輸送し、台北市の貿易会社倉庫で鮮度を調査した。2016年の「紅秀峰」は腐敗率が0・2%。17年のゲルシートだけを使用したばら詰め「紅秀峰」は0・4%だった。

 東原准教授は「保湿効果が高く軸の緑を保つことができた。製品化できる企業を見つけ、さらに改良し、今年も試験したい。腐敗率ゼロを目指す」と話している。

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