[達人列伝 36] マスクメロン 静岡県袋井市・中條友貴さん 一木一果で甘味凝縮 かん水手作業 高品質を維持

メロンを紹介する中條さん(静岡県袋井市で)

 全国に数あるメロンの中でも抜群の知名度を誇るのが、静岡県のマスクメロン「クラウンメロン」だ。1本の木に着ける果実は一つだけ。栄養を集中させて、香り高く仕上げる。生産する静岡県温室農業協同組合クラウンメロン支所の中條友貴さん(33)は、父の栽培技術を受け継ぎ、若手として産地をけん引。消費者に指名買いされる商品を作り上げる。

 クラウンメロンは、通常は1本の木から2、3個収穫する果実を、1個に絞る「一木一果」で栽培する。収穫量は少なくなるが、甘味や香りが濃厚になるという。品種は同支所で改良し、季節や条件によって複数を使い分ける。

 中條さんの栽培のこだわりは、木の状態に合わせた管理だ。メロンではネットの張りが品質の指標となる。肥大が急に進めば果実が大きく割れ、肥大が遅いとネットがうまく出ない。かん水での肥大スピードを一定に保つことが求められる。

 中條さんが大切にするのは観察力。葉のしおれなどの植物の変化を見逃さないよう、小まめに見回る。生育に影響する日照やハウス内の温度と照らし合わせて最適な水の量を予想する。株ごとに最適な量を与えるため全て手作業でかん水し、太さが一定で、目の細かいネットを果実表面に浮かび上がらせる。「すぐ近くにある株同士でも、生育に違いは出てくる。それをいかに把握するかが、農家の腕の見せ所」と話す。

 果肉のみずみずしさと、爽やかな甘味と香りは目の肥えた小売業者もとりこにする。「支所の中でもトップレベルの果実。上品な甘味は、一度食べたら誰でも分かる」とほれ込むのが、名古屋市の果実店、トップフルーツ八百文の鈴木和子社長だ。一度食べた味を忘れられず、中條さんの果実を指名して買い求めにくる人もいるほどだという。

 都市圏では数万円で販売されることもあるクラウンメロン。鈴木社長は「生産者の努力と品質を考えれば、決して高くない。どんな人にも自信を持ってお勧めできる」と太鼓判を押す。

 目標は、数十年後も高い品質を維持し続けること。父から受け継いだ技術をさらに磨き、季節や天候に左右されない、安定した生産体制確立を目指す。「どんなにおいしくても、奇跡の一玉では意味がない。いつ、どれを食べても満足できるメロンを作りたい」と意気込む。(吉本理子)
 

経営メモ


 ハウス11棟で、同支所独自品種を生産。年間3000ケース(1ケース6個)を同支所に出荷。両親、妻、従業員2人、パートタイマー2人で作業する。
 

私のこだわり


 「株の日々の変化を把握すること。メロンの何を求めているのか見極め管理できてこそ、いい果実が作れる」

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