朱色の神々しい景色は

 朱色の神々しい景色は、まるで天への階段のよう。稲荷山への頂に向け幾重もの鳥居が連なる。きょうは初午(はつうま)。京都・伏見稲荷大社は大祭でにぎわう▼全国に3万社あるといわれる「お稲荷さん」でも祭り。〈稲荷〉の語源は〈稲生(な)り〉とされ豊作を願う。さらに商売繁盛、開運、家内安全と幅広くご利益がある。キツネの好物の油揚げや団子を供え一年の無事を祈る▼きょうは「北方領土の日」とも重なる。幕末の1855年に結んだ日露和親条約にちなむ。箱館(当時)などを開港するが、この時、日本は初めて近代国家として明確に領土と国境や主権などの問題を認識した。意外だが、同時期のペリーの黒船を伴う米国の砲艦外交とは違い、日露間では対話が重視された。山内昌之、佐藤優共著『大日本史』に学ぶ▼忘れてはならない人物に今年、没後110年の榎本武揚(たけあき)がいる。先の条約をつぶさに見て、ロシア南下政策の脅威を肌で感じ取った。経験を生かし20年後の1875年には榎本が主導した樺太(サハリン)・千島交換条約を締結。だが北方領土問題は今も続く▼明治維新から150年。榎本は、その箱館にある城塞(じょうさい)・五稜郭(ごりょうかく)で新政府軍との戊辰(ぼしん)戦争最終決戦に臨む。後に明治政府重臣も担う数奇な運命は、歴史の皮肉な巡り合わせと言うほかない。

おすすめ記事

四季の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは