まるで冷蔵庫に入ったような寒気が列島を覆う

 まるで冷蔵庫に入ったような寒気が列島を覆う。冷気と雪は表裏一体であろう。太宰治『津軽』冒頭のいくつもの表情を見せる“雪変化(へんげ)”が浮かぶ▼こな雪、つぶ雪、わた雪、みづ雪、かた雪、ざらめ雪、こほり雪。太宰は故郷の冬空から届く七つの“便り”を思う。東北の方言を駆使し今回の芥川賞に決まった若竹千佐子さんの『おらおらでひとりいぐも』。題は同郷・岩手の詩人・宮沢賢治の『永訣の朝』から。〈あめゆじゅとてちてけんじゃ〉。賢治は雨雪、すなわち霙(みぞれ)を取ってきてと言う最愛の妹の死を悲しみ詠む。霙は太宰の〈みづ雪〉に当たる▼「雪」の字はなかなか奥が深い。『雨かんむり漢字読本』(円満字二郎著)に学ぶ。雪は訓読みで〈すすぐ〉。例えば雪辱は〈恥を雪ぐ〉となる。雨冠で雪の一つ、先の霙の〈英〉はどこから来たのか。〈英〉とは本来、美しい花を表した▼雪の華(結晶)は六つ。北海道の名菓「六花亭」の由来でもある。週明けまで69回目の札幌雪まつり。主会場の大通りは1・5キロもの雪と氷の芸術の花が開く。2月が厳寒と降雪が多いことを逆手に集客を狙い始めた。今では観光王国・北海道の風物詩として定着した▼一方で「平成26年豪雪」は4年前の今ごろ。雪は、〈花〉とも白い〈悪魔〉ともなる。

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