極寒列島・・・ 農家悲痛

除雪作業に励む宮里剛さん(北海道新ひだか町で)

連日吹き続いた冷たい風で枯れたソラマメを見て落胆する打越さん。下の方に残った豆も品質が低下している(鹿児島県指宿市で)

 全国各地を襲った寒波や大雪で、ハウス倒壊の他、農産物の生育にも影響が出始めている。特産のミニトマトやピーマンの育苗を控えていた北海道日高地方では、9日現在で500棟を超えるハウスに被害。鹿児島県指宿市では連日氷点下が続き、特産のソラマメが枯死するなどの被害が出ている。異例の寒波が国内農業に大きな打撃を与えている。
 

北海道日高地方 ハウス雪害拡大 就農したて 「悔しい」


 ピーマンやミニトマトなど北海道有数の産地、日高地方。平年は降雪量が少ない地域を襲った想定外の積雪でハウス倒壊などの被害が拡大している。道によると9日現在、新ひだか町で389棟、新冠町で136棟のハウスが被害を受けた。育苗を間近に控えた被害に、生産者からは戸惑いと営農再開への不安の声が上がる。

 新ひだか町で昨年、新規就農した宮里剛さん(37)と妻・郁子さん(39)は、ミニトマトを約97アール経営する。育苗・定植用のビニールハウス19棟のうち17棟が倒壊した。来週にロット苗が届き、育苗後3月に定植する直前の出来事だった。「1年目の苦労を糧に、今年は良い年にしようと考えていた矢先だった」と悔しがる。

 雪が降り積もった5日朝。自宅から車で10分ほどのハウスに向かったが、道路の除雪が進まず到着したのは午後4時ごろ。高さ約3メートルのビニールハウスの大部分は雪に埋もれ、雪の重みで支柱が折れ地面に接触していた。郁子さんは「涙があふれ、言葉が出なかった」と話す。

 剛さんは「普段、雪はあまり降らない。リスク管理ができていなかった」と話す。前日は天気が良く、ボイラーを稼働させなかったという。

 剛さんは壊れたハウスから引きずり出したトラクターで、地域の農道を除雪した。郁子さんは「仲間と協力し再興したい。何年かかっても頑張る」と前を向く。

 地元のJAしずないは「連休中も職員総出で除雪作業に取り組む」(営農課)と復旧に全力を挙げる。

 町によると、町内のJAみついし管内では、花きやアスパラガスなどのビニールハウス154棟が倒壊。牛舎や牧草倉庫など9棟が被害にあった。JAは、行政と連携しながら組合員をサポートする方針だ。

・露地で再出発

 新冠町でアスパラガスやピーマン30アールなどを経営する小山田孝義さん(72)方では、アスパラガスのハウス6棟が倒壊した。「20年、施設野菜を栽培してきたが、初めて」と話す。事前にハウスを支える木の棒を1棟につき5本用意して対策したが、多くが折れた。

 小山田さんはハウスを建て直さず、露地栽培に切り替える方針。だが、露地にすると3月末からの収穫が1カ月以上遅れ、収入が減る懸念がある。

 JAにいかっぷは「意欲を持った農業者が営農を継続できるよう、支援したい」(農産課)と話す。JAピーマン生産部会の竹中浩二部会長は「産地として、行政と連携して離農者が出ないようサポートしたい」と話す。
 

鹿児島県指宿市 連日、異例の氷点下 ソラマメ枯死に落胆


 強い寒波で、鹿児島県指宿市では豆類に深刻な被害が出ている。全国一の出荷量を誇るソラマメは冷たい風に長期間さらされ、一部の畑で茎が枯死。地域の豆類は2年前にも寒さで壊滅的な打撃を受けた。農家は口々に「温暖な指宿でここまで寒い日が続くのは異常だ」とこぼす。

 「今年、まだ2回しか取れていないのに・・・」。同市山川地区で12年間、ソラマメを栽培する打越恵太さん(35)は枯れた茎をなでてつぶやいた。1シーズン平均7回、4月下旬まで収穫を見込んでいたが、もう新しく実を付けることはない。

 打越さんの畑で異変が起きたのは6日。1月下旬の寒波の後、再び厳しい寒さが続いたことで茎がたちまち枯れてしまった。1ヘクタールのうち7割強が既に枯死。残る茎に付いた実も、さやが変色する「霜ざや」になった。出荷はできるが、取引価格はA品の7割以下だ。

 「茎の回復はほとんど見込めないが、諦めきれない。1週間は様子を見たい」。打越さんは悲痛な面持ちだ。JAいぶすきによると、他にも茎が枯死した生産者が数人いるという。

 県によると、1月下旬時点で県全体の被害面積はスナップエンドウ含め101ヘクタール。今も被害は拡大しており県や市の職員は調査に奔走している。

 JAは1月下旬、緊急で目ぞろえ会を開き出荷規格を確認。厳しい状況ながら品質の維持に努めている。JA管内の豆類は約7割が「霜ざや」の状態になり、JAは葉面散布材の無料配布を検討している。「豆類は新規就農者も多い基幹品目。手を尽くしたい」(営農課)と力を込める。

 既に青果市場では影響が出始めている。日農平均価格の対象となる大手7卸の1月下旬の販売量は、ソラマメが8トンと平年の5割にとどまる。同市の豆類を入荷する東京の青果卸は「野菜全般が品薄高の中で、春商材の豆が少ないのは痛い」と話す。
 

いったん暖か すぐ寒気


 気象庁は9日、11日午後から13日ごろにかけて北日本の日本海側は再び大雪になる見通しだと発表した。一方、10日からは西日本から東北の平地で雨が降り気温が上昇。融雪による低地の浸水や河川の増水に注意が必要だ。

 11日には再び上空に強い寒気が流れ込み、西高東低の強い冬型の気圧配置になる。西日本から北日本の日本海側を中心に断続的に雪が降り、ビニールハウスの倒壊、路面凍結による交通障害、樹木への着雪、屋根からの落雪などが起こりやすくなる。特に、松江市辺りから北陸にかけて降雪量が多くなる見込みだ。(金子祥也、望月悠希)

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