豪雪被害対策 支援拡充で基盤維持を

 2月上旬からの大雪で各地で農業被害が出ている。積雪に阻まれ調査が進まない地域も多いが、被害は北日本から西日本の日本海側を中心に広い範囲に及ぶ。積雪による農業被害は近年多発しており、被災農家に対する国の支援が不可欠だ。

 今年の大雪は想定を大きく上回った。福井市では1981年豪雪以来、37年ぶりに130センチを超える積雪を記録。山形県大蔵村肘折では、445センチと過去最高の積雪となった。福井県の国道では一時、車1500台が立ち往生するなど市民生活も脅かした。同県は2度、自衛隊に災害派遣を要請した。単なる大雪ではなく、もはや命の危険さえある災害である。

 農業被害も甚大となりそうだ。16日に農水省が発表した調査では、農業用ハウスや畜舎など1700件。果樹園の被害もあった。いまだ雪に阻まれハウスや園地に近づけていない地域も多く、今後さらに被害が増えるのは確実だ。

 「50年農業をしていて、こんな雪は初めて」「集中豪雨のような雪だった」。福井県の農家はこう語る。悔し涙を流した人もいた。北海道新ひだか町では、昨年就農したばかりの若手農家のミニトマトのハウス19棟のうち17棟が倒壊。「1年目の苦労を糧に、今年は良い年にしようとしていた矢先だった」と悔しがる。初期投資をして建設したハウスが、一夜にして倒壊した農家のショック、不安はいかばかりか。

 農家にとって、ハウスや果樹園、畜舎は収入の源であり生産基盤だ。1700件という数字の裏側には、一人一人の農家、それぞれの生活がある。「明日からどうしたらよいのか」。眠れない日々を過ごす農家も多いだろう。

 気象庁は15日、今年の低温大雪について、ラニーニャ現象が要因の一つと発表した。ラニーニャの影響で、東南アジア上空の高気圧が平年より北西に張り出し、付近の偏西風が高気圧の縁に沿う流れになった。そのため、九州や沖縄周辺を通る偏西風が南に蛇行し、日本付近に北からの寒気が流れ込みやすくなったことが大雪の原因だという。この状況は2月末まで続きそうだ。

 確かに農業は「お天気次第」の産業だ。暑かったり寒かったり、雨が降ったり降らなかったり。日本の農家は四季の天候の変化に小まめに対応し、世界に誇る安全・安心な農産物を安定生産してきた。しかし、近年の異常気象は、農家が対応できるレベルをはるかに超えている。

 農業の高齢化が進む中、担い手への農地集積、新規就農の促進など生産基盤の強化が大きな課題になっている。今回の豪雪被害が弱体化を招かないか心配される。安心して農業ができるような国の支援が不可欠だ。涙をのんだ北海道の農家からは、それでも「前を向く」との力強い言葉が返ってきた。前に進める国の支援を期待したい。 

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