感動が続く

 感動が続く。〈金はうれしい、銀は悔しい、銅はほっとする〉。長野五輪金メダリスト清水宏保さんの話が分かりやすい▼その清水さんの勇姿に憧れ五輪を志した小平奈緒選手が、前走の銀を教訓に得意の500メートルで悲願の優勝を成し遂げた。通常ピークが過ぎる20代後半から頂を目指す裏には、尋常ではない努力の積み重ねがあったと推察される。「氷と対話する」「怒った猫のような背中」と、練習に裏打ちされた独特の世界観がその片鱗(へんりん)を示す▼ライバルの「氷速女帝」李相花選手は、地元開催で3連覇の重圧は並大抵ではなかったろう。戦い終わって小平選手が駆け寄り抱きしめた場面が良かった。試合後の抑制的な発言もそうだが、他者への配慮が利き、成長した人格を感じさせる▼競技人生を支えたのは大企業の実業団ではなく、長野県松本市の病院だというから驚きである。地元茅野市の観戦会場では、神社で必勝祈願した住民が伝統の〈木やり〉で景気づけしてその瞬間を見守った。ローカル色がひときわ濃い選手である。作家の玄侑宗久さんによれば、幸せの語源は〈仕合わせ〉。行為や思いがぴたりと人々との間で重なり合った時、日本人は大きな充実感に包まれる▼その波紋は津々浦々の子どもたちにも届き、未来への糧となったろう。

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