[達人列伝 39] スイカ 熊本市・高木實さん 先陣切って大玉出荷 質重視を徹底 市場で高評価

ハウスでスイカの状態を確かめる高木さん。生育途中でもこの大きさだ(熊本市で)

 熊本市の農家、高木實さん(68)はJA鹿本の大玉スイカで先陣を切って出荷を始める農家の一人だ。出回るのが小玉ばかりの時期に、高木さんは露地物に劣らない大きなスイカを出荷して市場を沸かせる。出荷時期は2月下旬。冷え込みが続いた今年も、今週から大玉のスイカを送り出す。

 JAはスイカ生産量が全国一を誇る大産地。初出荷に合わせて東京青果、大果大阪青果など、各地の主要な青果卸がトップセールスを開き、スイカシーズンの幕開けを市場関係者に伝える。共同選果であるため、出荷後は誰が作ったスイカであるのか分からないが、「どのトップセールスでも、高木さんのスイカが並んでいるのは間違いない」とJAの担当者は言い切る。市場で好まれる大玉規格の出荷割合が抜きんでているからだ。

 栽培時期は11~2月の真冬。出始めからS級を超える大きさのスイカを作るのは至難の業だが、高木さんのスイカはM・L級の比率が圧倒的に多い。SとLで階級が2段階変わると、重量では約1・5倍の差が出る。2月上旬にハウス内を訪れたJAの営農指導員は「初出荷まで2週間あったが、既にS級ぐらいのスイカがごろごろあった」と驚嘆する。

 高木さんが栽培を始めて今年で半世紀。長年、畑で磨いてきた観察眼はスイカのどんな変化も見逃さない。葉柄や節間、なり口の長さ、葉色の色合いなど、刻々と成長するつるや葉の状態を見ながら、ハウス内の温度設定を微妙に調整する。「いかに光合成しやすい状況を作るか。玉肥大も味もそれが全てだ」と高木さんは力を込める。

 「冬でもハウス内は真夏にする」(高木さん)ため、高いときには35度に設定することもある。毎年、加温にかかる重油代は膨大だ。今シーズンは重油価格高騰に加え、長期の低温で使用量も増えているが、コスト削減策はとらない。高品質なものを作ることで収益を上げ続けると固く決めている。そこには自身の腕前への自負と、先陣を切って出荷することへの責任感がある。

 「初出荷のスイカで今シーズン全体の販売が決まる。妥協はできない」。“トップバッター”を自称する高木さんのこだわりが、JAが統一して出荷しているスイカブランド「夢大地かもと」を支えている。(金子祥也)
 

経営メモ


 熊本市の旧植木町で、大玉スイカと小玉スイカの栽培を手掛ける。栽培面積は大玉157アール、小玉104アール。JAで最も早い作型で大玉スイカを作る。
 

私のこだわり


 「産地のためにどんな状況でも、コストは惜しまない。覚悟を決めて生産に臨む」

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