相次ぐ盗難 今年は野菜が標的 警戒感前面に防犯を

農作物の盗難に注意を呼び掛けるポスターを貼るJA職員(茨城県で)

 野菜の盗難が全国で相次いでいる。例年、少なからず各地で発生しているが、今シーズンは「特に多い」との声が上がっている。秋から冬にかけて低温、大雪などの天候不順が続き、野菜の生育不良から品薄高となっていることが盗難発生を呼んでいるとの見方もある。産地では、JAや農家による畑の見回り強化や、ポスターでの注意喚起など、警戒を強めている。
 

ポスターで注意喚起 茨城・JA常総ひかり


 昨年11月中旬にロメインレタスの盗難事件が発生した八千代町では、JA常総ひかりが中心となり、盗難の発生防止を呼び掛けている。事件後、JAは地元を管轄する下妻警察署の許可を得て、同署への連絡先を記載したA3判のポスターを作成した。

 JAはポスターを生産者へ配布するとともに、担当職員が収穫を予定している圃場(ほじょう)を巡回。作物に異常がないか監視を強化することで、産地ではその後、大きな盗難事件は発生していないという。

 盗難被害を受けた内海一彦さん(50)は事件発生後、家族で見回りを強化することで盗難の再発を防ぎ、秋作の出荷を終えた。現在はハウスで作る冬作の肥培管理を行いながら、春作の作付け準備をしている。

 内海さんは「新聞やテレビで大きく報道されたことも同様の被害を防ぐのに一役買ってくれたのではないか。事件を忘れずに盗難被害の防止に努めたい」と話した。

 JA八千代支店営農課の飯岡裕也補佐は「産地ではメロンなど、果実の盗難事件も起きやすい。これから迎える農繁期に向け生産者とも盗難防止対策について話し合っていきたい」と話した。
 

愛知、福岡、熊本、沖縄で


 キャベツやハクサイの栽培が盛んな愛知県豊橋市でも被害が相次ぐ。JA豊橋によると、同市内で1月下旬から2月にかけて複数回にわたり、収穫間際のハクサイ約500個が盗まれた。広報担当者は「これまでも少なからず盗難はあったが、ここまで多いのは聞いたことがない」と困惑する。

 同市でキャベツを栽培する男性(47)によると、今期は低温の日が多く生育が遅れ、「例年は1月中に収穫する物を、今ごろ出荷している」状況という。盗難については「畑の見回りを増やすしかない。畑にロープを張ったり、作物に網を掛けたりする人もいる」と話す。

 盗難発生を受けて地元の豊橋警察署は、不審者や車両への警戒を促すちらしを作成。農家に配り、防犯への意識向上を呼び掛けた。同署によると、盗難を禁じる表示や看板、見回りなど複合的な対策が効果を上げやすいという。同署は「多くの畑は人けのない所にあり、盗難者の侵入を防ぎにくいが、柵などで境界をはっきりさせると心理的に侵入しにくくなる」としている。

 沖縄県では出荷最盛期のインゲンの盗難が後を絶たない。野菜直売所「モリンガファーム」(南風原町)によると、1月中旬から出荷者の一人が何度も盗まれた。農家に気付かれずハウスに侵入しようと、入り口の反対側に穴が開けられていた。現在も被害が続いており、直売所を運営する赤嶺彰夫さん(33)は「ハウスが壊されることを恐れて、鍵を掛けられない農家もいる」と深刻さを話す。

 福岡県糸島市では、市内の一部地域でイチゴの盗難が相次いでいる。JA糸島によると、今シーズンは同市怡土地区の4件のハウスでイチゴが盗まれた。JAは「今年は手口が悪質」(園芸振興課)と憤る。

 熊本県八代市では、農家が畑に設置したカメラにブロッコリーを引きちぎる犯人の姿が映っていた。佐賀県みやき町でもハクサイが盗まれた他、長崎県南島原町ではブロッコリー盗難による逮捕者が出ている。
 

天候響き品薄高続く


 全国的な天候不順を受け、今冬はハクサイ、ネギ、キャベツなどの野菜が品薄高で推移している。日農インデックスによると、1、2月の野菜主要14品目の全国平均単価は1キロ200円台で推移し、昨年(同140~160円)より大幅に高い。ブロッコリーも、冷え込みによる品不足で2月下旬まで高値が続いた。2月9日の全国平均価格は1キロ714円で、前年同日比で約2倍だった。

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