きょうの二十四節気

 きょうの二十四節気「啓蟄(けいちつ)」を誰よりも待ち望んでいた。生き物を人一倍愛し興味を持ち続けた〈智の巨人〉南方熊楠(みなかたくまぐす)である▼一昨日まで開いていた東京・上野の国立科学博物館での生誕150年記念企画展に刺激を受けた。副題は〈100年早かった智の人〉。森羅万象の知識の泉がこんこんと湧くが、発想は世間に受け入れられるには早過ぎた。一方で科学誌『ネイチャー』に50本以上の論文を載せた。もっと長生きしていれば、先駆的な研究はノーベル賞候補になったともされる▼日本の頭脳を輩出した特異年、幕末の1867(慶応3)年生まれ。同学年には司馬遼太郎の名作『坂の上の雲』に登場する夏目漱石や正岡子規、日露戦争を勝利に導く秋山真之らがいる。熊楠は欧米を放浪し独学を重ねた。大英博物館図書館で中国の革命家・孫文と親交を深め共に〈新しい東洋〉を熱く語った▼科博創立140周年の記念展とも重なる。多様性に満ちた粘菌類や地衣類などに興味を持つ。熊楠は毎日のように野山に入り採取したが、今も謎が多く研究が続く。科博では、彼がイラスト入りで詳細説明した標本をデータベース化し公開する準備も進む▼熊楠の情報処理が、グーグルなど今のIT解析の先駆けだったことに驚く。やはり〈智の巨人〉だった。

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