[改革最前線 生産コスト低減 1] BB肥料 全農長野 最適成分で省力実現 オーダーメードが浸透

アグリエール長野の工場で配合したBB肥料。注文生産で生産者にメリットを生む(長野県安曇野市で)

 JAグループの自己改革の取り組みが全国各地で進んでいる。農家所得向上に向けたグループ内の連携と、創意工夫により、取り組みが活発化している。第2部では、生産コスト低減に向けて全力を挙げる現場を追った。

 総数426──。JA全農長野の子会社、JAアグリエール長野が製造する粒状配合(BB)肥料の銘柄数だ。数は増え続ける。肥料価格引き下げでは銘柄集約が代表的な手法だが、その逆の方向を進む。生産者のこだわりを尊重しながら、成分の最適化や施肥回数が削減できる肥料を供給することで、省力化を含めたトータルで生産コスト低減につなげている。1袋当たりの単価は従来の肥料と同等かそれ以上だが、省力効果から選ばれている。

 「指導事業があるJAだからできる、生産者を尊重するサービスだ」。同社の青柳元彦肥料事業部長が力を込める。県内で製造できるBB肥料のメリットを最大限に生かし、土壌分析やJAの営農指導に基づいたオーダーメードの肥料を提案する。要望に応じて、これだけ多くの銘柄が供給できるのは、粒状の原料を混ぜて作るBB肥料の特性にある。

 小ロットの個別銘柄が作りやすく、原料のまま調達するのでコストが低い。従来の化成肥料は、県外の遠く離れた沿岸部の工場で熱処理や化学合成し、商品規格に沿って成分を固める。固定費がかさみ、最小ロットも大きい。全農長野生産資材課によると、県内生産者での化成肥料の利用は1割にとどまる。
 

集約とは対極


 アグリエール長野が製造するBB肥料426銘柄のうち、半分以上の225銘柄が、大規模農家や法人向けのオーダーメード商品「わたしの肥料」。微量成分や肥料の効くスピードなど、希望に応じて配合する商品で、全国に先駆けて2005年に始めた。

 4トンを最小ロットとして販売。同社が行う土壌分析に基づいて、生産者とJAの営農担当者が相談して設計を決める。

 「わたしの肥料」の利用が年々増加。16年は土壌分析を約9000件行い、200戸から2840トンを受注した。
 

作業余裕生む


 全国有数の高原野菜の産地、JA長野八ケ岳管内。「わたしの肥料」の利用率が高い地域だ。省力効果をJAが生産者に説明し、積極的に導入を提案する。

 川上村でレタスやハクサイなど延べ8ヘクタールで栽培する新海光さん(54)は「春先の忙しい時期に天候を見ながら3回は畑に入っていたが、この肥料だと1回で済む。余裕が違う。もう前の肥料には戻れない」と実感する。

 管内の生産者は、これまで石灰やリン酸、微量要素など成分ごとに肥料を購入していた。それぞれ施用するか、自家配合していた。成分をまとめた「わたしの肥料」は畑に入る回数が減る。施肥で農機を動かす燃料代や労力を削減できるのはもちろん、何度も農機を入れることで土壌が踏み固められるのを避けられる利点も大きい。

 JA管内で現在、67戸の生産者が136銘柄の「わたしの肥料」を使う。JA農業部の中島常勝次長は「土壌分析で、経験や勘に頼らなくて済む。自由度が高いので系統外からの乗り換えも多い」と話す。

 全農長野生産資材課の由井正明課長は「生産者は省力化や自身のこだわりを重視する。価格だけでは選ばれない」と強調する。

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