気付けば日本中に「難民」があふれている

 気付けば日本中に「難民」があふれている▼「買い物難民」あたりがはしりだろうか。災害時の「帰宅難民」は過酷だった。「保育園難民」も後を絶たない。会社のおじさんたちは「IT難民」。自宅に居場所がないお父さんを「自宅難民」と呼ぶとか。仕事後、妻子の待つ家に直帰せずふらふらと寄り道する「フラリーマン」が増殖するわけである▼いま切実なのが「引っ越し難民」。運転手や作業員の不足に加え、通販利用の拡大で配送業者も手が回らない。「見積もりも受け付けてくれない」「料金高過ぎ」「人事部何とかして」。ネットには悲鳴があふれる。就職、進学、転勤がこの時期に集中するのも考えもの▼ただ、何でも「難民」と呼ぶのはどうか。紛争や迫害から他国に逃れる本当の難民の実像もゆがめてしまう。難民の増加は世界的問題である。昨年、日本に難民申請したのは約2万人だが、認定されたのはわずか20人にすぎない▼昨年、世界報道写真展で見たイラクの難民少女が忘れがたい。イスラム国に郷里を追われ、難民キャンプにたどり着いた5歳のマハちゃんの言葉が紹介されていた。「私には夢がない」。その目はうつろで、生気のない顔からは表情が消えていた。「難民」という言葉の重さを改めて突き付けられる一枚だった。

おすすめ記事

四季の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは