[改革最前線 生産コスト低減 2] 農機 全農京都などJA5組織 共同注文2割安達成 機種絞り交渉力強める

低価格トラクターを見ながら談笑する全農京都の加藤次長(左)と購入した農家の内藤さん(京都府南丹市で)

 JA全農京都などJA5組織は、府県の枠を超えた農機の共同注文により、価格の引き下げを実現した。スケールメリットを生かすため、注文するメーカーは1社にし、機種は需要のある特定の農機を選んだ上で、機能を絞って特別仕様に設定した。全農京都では価格を通常の機種と比べて約2割安を達成。生産者の生産コスト低減につなげた。

 連携するのは全農京都、JA香川県、JAあいち経済連、JA全農みえ、JAしまね。価格交渉力の強化のため、全農京都が府外の県域JAに呼び掛け、連携した。2016年に始まった。

 「もう年だから、新しいトラクターを買うこと自体を悩んだが、他と比べてJAの条件が良かったので買うことにした」。京都府福知山市の米農家、荒河富雄さん(68)は、16年7月にトラクターを購入した。30馬力の仕様で、水田1・4ヘクタールを耕す。「従来は50アール耕すのに4時間かかったが、半分の時間で済む。作業性が改善された分、燃料費や労務費の削減につながった」と満足げだ。
 

中山間で威力


 企画の仕掛け人で全農京都生産資材部の加藤典孝次長は、こう強調する。「中山間地域の小規模農家でも使える安価で小回りの利くトラクターを提案したかった」。府内には小規模農家の割合が多い。規模拡大に不向きな中山間地域が約7割を占める。京都にあった、京都仕様のトラクターを届けるとの強い思いがあった。

 共同注文だが府県によって扱う機種はやや異なる。全農京都では、中山間地域が多い地域の特性を踏まえ、小回りが利く24馬力と30馬力のトラクターを中心にそろえた。作業性向上を狙って通常はオプションとなるキャノピー(日よけ)、高耐久爪、作業灯などを装備。JAの強みを生かそうと、低金利、保証料負担なしで利用できる農業経営資金を用意し、購入をサポートした。

 同府南丹市の米農家、内藤育美さん(85)は17年12月に24馬力のトラクターを購入。18年産から本格的に使う。新機種にはハロー(整地機)を備え付けた。均平に整地できれば、均一に除草剤を散布できるので回数を減らせる。全農京都の試算では、1・2ヘクタールの農地を持つ内藤さんの場合、除草剤は年間約4万2000円分軽減できると見込む。内藤さんは「手間が省ける上に生産コストを安く抑えられる。労力不足に悩む地域だけに頼りになる」と笑顔で話す。
 

地域性踏まえ


 あいち経済連と全農みえは、京都に比べ、農家1戸当たりの耕地面積は大きく、求められる農機の大きさが違う。そこで両組織は97馬力までの特別仕様トラクターをそろえ、地域特性に合った農機を提案した。

 17年度にはコンバインを追加。トラクターと合わせた5組織の累計販売台数は300台を超えた。全農京都では18年度から草刈り機やバッテリー噴霧器、作業着で同様に有利な価格で販売する。

 加藤次長は「農機の購入経費を少しでも下げ、一人でも多くの農家の力になりたい。全国各地のJAに呼び掛け、連携する組織をさらに広めたい」と力を込める。

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