ご飯、うどん・・・ 炭水化物減らすダイエット 60代後半で老化顕著に 糖質制限ご用心
2018年03月15日

JA全中が運営する「ミノーレ」では温かいご飯を入れる弁当が好評だ(東京・大手町で)
糖質制限ダイエットは老後にしわ寄せも──。ご飯やうどんなどの炭水化物を減らした食事を長期間続けると、高齢になってから老化が早く進み、寿命も短くなるとの研究を東北大学大学院がまとめた。糖質制限は「内臓脂肪を効率的に減らす」と話題になっているが、マウスを使った試験では人間の年齢で60代後半からの老化が顕著だった。研究内容は名古屋市で15日から始まる日本農芸化学会で、17日に発表する。(立石寧彦)
同大学院農学研究科のグループは、食事の量を減らさず炭水化物の量を制限し、その分をタンパク質や脂質で補う「糖質制限食」について、摂取と老化の影響を分析。マウスに日本人の一般的な食事に相当する餌を与えた場合と、糖質制限食を与えた場合を比較した。ビタミンやミネラルは同じ量を与えた。
一般的な食事を与えたマウスは多くが平均寿命よりも長生きしたが、糖質制限食では平均寿命まで生きられなかった個体が多かった。死んだ個体は平均寿命より20~25%ほど短命だった。また、糖質制限の個体は見た目も同齢の一般食の個体と比べて背骨の曲がりや脱毛などがひどく、老化の進度が30%速かった。
同科の都築毅准教授によると、現時点で詳しいメカニズムははっきりしていないが、「糖質制限食の個体は、血液中に多く存在するとがんや糖尿病の発症が早くなる可能性が高まる物質が多くなっていた」と、食事による違いを指摘する。
さらに、若い時期は影響が目立たないために健康そうに見えるが、加齢が進んで人間の年齢換算で60代後半になると、外見的な老化が進行し、皮膚の状態の悪さがはっきりしてくるという。
同グループは「長期の糖質制限はマウスの皮膚や見た目の老化を促進し、寿命を短くする」と結論付けた。都築准教授は「極端な食事スタイルは健康維持に有益ではないと発信し、誤った食生活を見直すきっかけにしてほしい」と期待する。
そもそも、炭水化物は太る原因なのか──。糖質制限が話題となる一方で、米飯を中心とした健康づくり活動も活発だ。
JA全農は、スポーツクラブを運営するルネサンスと「おにぎりダイエットプログラム」を共同開発。おにぎり中心の食事とトレーニングを組み合わせて、無理なく体重を減らせるため「米はダイエットの敵ではない」として、2016年から成果を広めている。
プログラムでは、年代や性別などから1日の消費カロリーを計算し、食べるおにぎりの個数を決定。筋力トレーニングやランニングと組み合わせた結果、16年の調査では1カ月で7割が500グラム以上減量。17年は1カ月で7割が腹囲を1センチ以上減らせた。
おにぎりはパンや麺類などの他の炭水化物と違い、コレステロールを含まないため、同量ならばご飯の方がカロリーは低いという。東京・大手町のJAビルでJA全中が運営する「ミノーレ」では、炊き立てのご飯を入れて提供する弁当が人気だ。売り上げは09年のオープン当時の1日250個から、550個と倍以上に増えている。大盛りを頼む人も多いという。
東北大大学院が報告
同大学院農学研究科のグループは、食事の量を減らさず炭水化物の量を制限し、その分をタンパク質や脂質で補う「糖質制限食」について、摂取と老化の影響を分析。マウスに日本人の一般的な食事に相当する餌を与えた場合と、糖質制限食を与えた場合を比較した。ビタミンやミネラルは同じ量を与えた。
一般的な食事を与えたマウスは多くが平均寿命よりも長生きしたが、糖質制限食では平均寿命まで生きられなかった個体が多かった。死んだ個体は平均寿命より20~25%ほど短命だった。また、糖質制限の個体は見た目も同齢の一般食の個体と比べて背骨の曲がりや脱毛などがひどく、老化の進度が30%速かった。
同科の都築毅准教授によると、現時点で詳しいメカニズムははっきりしていないが、「糖質制限食の個体は、血液中に多く存在するとがんや糖尿病の発症が早くなる可能性が高まる物質が多くなっていた」と、食事による違いを指摘する。
さらに、若い時期は影響が目立たないために健康そうに見えるが、加齢が進んで人間の年齢換算で60代後半になると、外見的な老化が進行し、皮膚の状態の悪さがはっきりしてくるという。
同グループは「長期の糖質制限はマウスの皮膚や見た目の老化を促進し、寿命を短くする」と結論付けた。都築准教授は「極端な食事スタイルは健康維持に有益ではないと発信し、誤った食生活を見直すきっかけにしてほしい」と期待する。
「同時に運動」 効果的 全農が提唱
そもそも、炭水化物は太る原因なのか──。糖質制限が話題となる一方で、米飯を中心とした健康づくり活動も活発だ。
JA全農は、スポーツクラブを運営するルネサンスと「おにぎりダイエットプログラム」を共同開発。おにぎり中心の食事とトレーニングを組み合わせて、無理なく体重を減らせるため「米はダイエットの敵ではない」として、2016年から成果を広めている。
プログラムでは、年代や性別などから1日の消費カロリーを計算し、食べるおにぎりの個数を決定。筋力トレーニングやランニングと組み合わせた結果、16年の調査では1カ月で7割が500グラム以上減量。17年は1カ月で7割が腹囲を1センチ以上減らせた。
おにぎりはパンや麺類などの他の炭水化物と違い、コレステロールを含まないため、同量ならばご飯の方がカロリーは低いという。東京・大手町のJAビルでJA全中が運営する「ミノーレ」では、炊き立てのご飯を入れて提供する弁当が人気だ。売り上げは09年のオープン当時の1日250個から、550個と倍以上に増えている。大盛りを頼む人も多いという。
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日米、貿易新協議へ 「TPP」「2国間」溝鮮明
安倍晋三首相と米国のトランプ大統領は18日、日米で貿易の新たな協議を始めることで合意した。米国南部フロリダ州パームビーチで2日間会談し、同日の共同記者会見で発表した。貿易の在り方に関し、安倍首相は環太平洋連携協定(TPP)が「最善」と訴え、米国が復帰する場合でも農業分野ではTPPの水準を上回る関税引き下げなどの譲歩はしない意向を伝えた。一方、トランプ氏は「2国間の貿易協定の方が好ましい」と明言。隔たりが浮き彫りになり、新たな協議を舞台に攻防が本格化する。
2日目の18日は通商分野について集中的に議論した。安倍首相は、トランプ氏がTPP復帰検討を指示していたことを踏まえ、会談で復帰を要請した。一方、トランプ氏は会見で「TPPには戻りたくない」と復帰に否定的な発言を繰り返した上で、「日本と一対一で交渉を行っていきたい」と強調。2国間交渉の方が望ましいとの姿勢を鮮明にした。
両首脳は、「自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議」を始めることで合意。日本側は茂木敏充TPP担当相が、米側は通商代表部(USTR)のライトハイザー代表が担当する。協議内容は、麻生太郎副総理兼財務相とペンス米副大統領による日米経済対話に報告する。
新協議についてトランプ氏は、「遠くない将来に良い合意に至ることができると思っている」と述べ、早期に成果を出すことへの意欲をにじませた。ライトハイザー氏は1980年代のUSTRの次席代表を務め、強硬な交渉姿勢で日本に鉄鋼輸出の自主規制などをのませた経歴で知られる。日本の農産物市場の開放や、自由貿易協定(FTA)交渉への意欲を示す発言を繰り返しており、協議でも強硬な姿勢を示す可能性が高い。
米国による鉄鋼・アルミニウムの輸入制限について、日本への除外は合意に至らなかった。トランプ氏は輸入制限を「多くの国との交渉材料となっている」と明言。除外を取引材料にFTAを求めてくることへの懸念も残った。
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TPP以上拒否 焦点 与党冷静、野党は批判 日米新協議
2018年04月20日

4年後の金“正夢”に 宮城産米、県が寄贈 フィギュア羽生結弦選手
韓国・平昌冬季五輪のフィギュアスケート男子で2連覇を達成した羽生結弦選手(ANA)は22日、出身地の仙台市で開かれた凱旋(がいせん)祝賀パレードで、宮城県産米の目録を受け取った。県の村井嘉浩知事が4年後の金メダル獲得を「正夢」にしたいとの祈りを込め、18年秋に本格デビューする水稲新品種「だて正夢」を含む4年分(約240キロ)を贈った。
2018年04月23日

最新技術の圃場公開 ICTポリ培地 多様な担い手確保へ 近畿大・奈良県
近畿大学農学部と奈良県は20日、奈良市の同大キャンパスで、多様な担い手の就農を支援するため、長期間使えるポリエステル培地や情報通信技術(ICT)など、最新技術を使った園芸栽培の実証圃場(ほじょう)を公開した。作業の手間を省いて高齢者や障害者、若年性認知症の人らが容易に農業ができるようにし、不足する担い手確保につなげるのが狙い。
圃場は2017年度に県の予算約3000万円を投じ、整備した。この日は、農家や行政関係者ら約30人が参加した。
同大農学部の林孝洋教授がポリエステル培地での栽培を説明。東日本大震災の被災地、福島県で花き生産が軌道に乗っていることに触れ「土を使わないので風評被害に苦しむ地域にも向く。軽量で作業負担が少ない高設ベンチでの栽培が可能だ。半永久的に使え、連作障害が出にくい」と利点を強調した。
ICTを活用した養液土耕栽培を同大大学院農学研究科の野々村照雄教授が解説。園芸施設は2棟あり計3アールで設置費は1300万円。メロンとトマトを栽培し、水や肥料、温度などを自動管理できる。現在、生産効率の良い養液量などのデータを収集中で「個人の経験や勘に頼らない生産で就農初期から所得の安定へつなげたい」と話した。
養液量を調整することで付加価値を高めることも可能とし、栽培だけでなく加工、販売のマニュアル化も検討している。
今年度は試験栽培で、ポリエステル培地とICTの技術のマニュアル化に力を注ぐ。年内中にもポリエステル培地を活用した同大学生による農業ベンチャー法人を設立し、県内の農業経営体を連携する考えだ。
2018年04月21日

バナナ 皮ごとパクッ 寒さ・病害虫に強く無農薬 ともいきBIOが販売
種苗の研究開発や培養を手掛ける、ともいきBIO(バイオ)は18日、独自の凍結解凍技術で育苗し、国内で栽培できるバナナを開発したと発表した。寒さと病害虫に強く、鹿児島県で栽培が始まっており、糖度が高く無農薬のため「皮まで食べられるバナナ」として限定販売する。
国内でのバナナ栽培は、沖縄県など温暖な地域に限られていた。同社が開発した「凍結解凍覚醒法」を使って育苗したバナナ苗は、氷点下17度まで耐えられる。温帯地域で栽培でき、定植から収穫までの期間は約9カ月で、通常のバナナの半分以下。病害虫にも強く、田中節三代表は「一度凍らせることでバナナ本来の生命力が現れるのでは」と話す。
世界ではバナナの木を枯らす「新パナマ病」が広がり、フィリピンなどの産地では生産量の減少が懸念されている。田中代表は「耕作放棄地を活用して鹿児島を拠点に、全国でバナナ生産を目指す」と意気込む。開発した技術はパパイアやカカオなどでも効果を確認し、他の熱帯作物の生産も期待できる。
生産したバナナは、三重県伊勢市の伊勢安土桃山城下街内の売店やホームページで購入できる。
2018年04月19日
牛豚汚水処理の温室効果ガス 想定より4割少なく 環境負荷は小さめ 農研機構
牛舎・豚舎の汚水処理施設から出る温室効果ガスが、想定されていた数値よりも大幅に少ないことが農研機構などでつくる研究グループの研究で分かった。算出に使う係数を実測に基づいて見直すと、日本全体で約150万トンとみられていた排出量が41%減の90万トン程度に収まった。環境負荷が小さいことが判明し、環境問題で畜産への風当たりが和らぐと期待される。この数値は日本の温暖化ガス排出量として、国連の機関に提出される見込み。
2018年04月18日
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冷凍食品 利用率、初の8割 女性で「野菜」消費進む
食品メーカーなどでつくる日本冷凍食品協会がまとめた冷凍食品の利用実態調査(2018年)によると、冷凍食品を月1回以上使う人の割合は初めて8割に達した。共働き世帯が増え、手軽に調理できる冷凍食品の利用が広がっている。女性で「冷凍野菜」の消費が進み、同協会は「天候不順で高騰した生鮮野菜の代替で需要が伸びた」と指摘する。
調査はインターネット上で3月に実施。25歳以上が対象で、9967人が回答した。
冷凍食品を月1回以上使う人の割合は、前年比2ポイント増の80%となり、増加が続く。月1回以上使う人に利用頻度を尋ねたところ、「週2、3回」が31%で最多。「週1回」(25%)、「月2、3回」(22%)となった。利用頻度の平均は週1・9回で、前年と同じだった。
ギョーザやチャーハンなど全21品目で利用頻度が増えた品目(複数回答)を男女別に尋ねたところ、女性のトップは「冷凍野菜」で34%。男性でも22%と前年より3ポイント伸びている。
昨年10月の長雨や台風、同11月の低温などの天候不順を受け、生鮮野菜の価格は大きく値上がりした。同協会は「冷凍野菜の価格は比較的安定していたため、消費が進んだ」と分析する。
2018年04月24日

ロングライフ化進む 精肉販売 付加価値販売で消費増へ 産地・スーパー 制菌作用高めて鮮度維持
スーパーや産地が精肉の付加価値販売に向け、消費期限を延ばすロングライフ(LL)化を進めている。パック包装時に酸素と二酸化炭素を注入することで、制菌作用を高め、鮮度や色味を維持する。通常3日程度の消費期限を2~4日延ばし、有利販売で消費拡大を目指す。
豚の生産から加工、販売を手掛ける大商金山牧場(山形県庄内町)は、LL化を可能にする包装技術を開発した。包装時にパックに注入する酸素が肉の変色を抑え、二酸化炭素が菌の発生を抑えるという。と畜場併設の加工センターを持つ強みを生かし、まな板の煮沸など菌数を抑える作業も徹底した。
昨年秋から東北地方のスーパーで消費期限を6日間に設定し、同社の豚肉を販売している。実証検査を重ね、期限延長を実現した。価格は1・5倍ほど高くなるが、「鮮度維持に理解がある業者は多い。国産の有利販売を目指す」と同社。現在、機密性をより高め、消費期限を最大7日間に設定できる包装パックでの販売を計画している。遠方地域への輸送や、宅配販売をにらむ。
大手スーパーのイオンリテールは、プライベートブランド「トップバリュ」の一部精肉商品の消費期限を2日延ばし、全国で販売している。豚肉と牛肉、ひき肉など。パックに酸素と二酸化炭素を注入する技術を使っている。
この技術を使った商品の17年度の売り上げは前年度の倍に達した。2013年度から地域限定で導入、17年6月に全国へ広げた。価格は据え置き、店内広告(POP)で精肉のLL商品を売り込んでいる。「品質を保持できる点が消費者から受けている」という。今後、商品数を広げていく考えだ。
2018年04月24日

4年後の金“正夢”に 宮城産米、県が寄贈 フィギュア羽生結弦選手
韓国・平昌冬季五輪のフィギュアスケート男子で2連覇を達成した羽生結弦選手(ANA)は22日、出身地の仙台市で開かれた凱旋(がいせん)祝賀パレードで、宮城県産米の目録を受け取った。県の村井嘉浩知事が4年後の金メダル獲得を「正夢」にしたいとの祈りを込め、18年秋に本格デビューする水稲新品種「だて正夢」を含む4年分(約240キロ)を贈った。
2018年04月23日

植物工場58%赤字 ノウハウ蓄積改善の鍵 施設園芸協会調査
日本施設園芸協会の調査で、全国の大規模施設園芸と植物工場の事業者の45%が経営赤字となっていることが分かった。蛍光灯などで作物を育てる植物工場だけを見ると赤字は58%に上り、経営の難しさが浮き彫りになった。ただ、稼働年数が長いほど黒字の割合が増えることから、同協会は栽培や労務管理のノウハウの蓄積が経営改善の鍵とみる。
2018年04月21日
干しシイ 燃費半減、うま味増 低温乾燥新手法 鳥取の組合 特許出願
鳥取市の日本きのこセンターと菌興椎茸(しいたけ)協同組合は19日、低温乾燥による干しシイタケの新しい製造方法を開発し、特許を出願したと発表した。作業の省力化に加え、乾燥に必要な燃料費を最大で7割削減する。調理面では、だしが15分程度で取れるため、使いやすさも向上する。生産コスト低減と需要拡大を実現し、産地振興につなげる。林野庁によると干しシイタケの生産量は、1984年の1万6000トンから2016年には2700トン程度まで減少。共働き世帯の増加による食の簡便化や、輸入品の増加などが背景にある。
5月ごろにほだ木で自然乾燥することで風味が特段に優れる「木干し状態のシイタケ」の風味を目指して開発した。
従来は一つ一つ柄を下に向けて重ならないよう並べ、45度から55度まで徐々に温度を上げて、25時間ほどで乾燥させる。新しい製造方法は、シイタケを山なりに重ね、指定した空気循環操作で22~28度で15~25時間乾燥後に、55度まで上げてさらに10時間乾燥させて仕上げる。乾燥時間は延びるが、重ならないように並べる作業時間が短縮されるほか、低温乾燥により灯油の使用量は従来より5~7割減らせた。
調理面では、沸騰寸前の湯に干しシイタケを入れて弱火で10~15分煮ることでだしが取れる。従来品では水戻しに5時間以上かかる。苦味や雑味が少なく、うま味成分のグアニル酸は従来の1・5倍になることも確認した。
同組合の下田秀一組合長は「今後を占う革新的技術だ。業界の魅力を高め、生産者の意欲向上や新規就農者の増加に加え、消費量も増やしていきたい」と意気込む。
2018年04月20日

毎月19日 「いいきゅうりの日」 主産4県がPR
キュウリ主産県のJAグループは19日、首都圏に展開するスーパー、澤光青果の23店舗で一斉に行う試食宣伝をスタートさせた。毎月19日と定めた「いいきゅうりの日」に、主産地が仕掛ける販促活動の第1弾。潤沢な入荷で相場が落ち込む中、産地関係者が店頭でみずみずしさや食感の良さをアピールし、消費拡大を呼び掛けた。
この日は群馬、埼玉、千葉、宮崎の4県のJAグループがキュウリを売り込んだ。
神奈川県川崎市の澤光青果川崎店は、群馬県のJA邑楽館林のキュウリを4本99円(税別)で特売した。ご当地アイドル「Menkoi(めんこい)ガールズ」のメンバーも駆け付け、塩昆布あえの試食を振る舞った。
キュウリを買い求めた横浜市の金子禎子さん(72)は「暑くなり、食べたくなった。ぬか漬けやサラダなど、いろんな食べ方ができるのが便利」と笑顔を見せた。
4月中旬の日農平均価格(19日まで、大手7卸のデータを集計)は1キロ182円で、前年を3割下回る。好天続きで生育が前進し、JA全農ぐんまの1日当たり出荷量は200トンと例年より1割多い。担当者は「イベントを通じて消費を盛り上げたい」と意気込む。
「いいきゅうりの日」は、4月19日の「良いキュウリの日」にちなむ。卸最大手の東京青果が事務局となり、毎月19日に主産JAが首都圏で販促活動を行う予定だ。
2018年04月20日

静岡茶初取引 平均単価3715円
静岡茶の2018年産の初取引が18日、静岡市の静岡茶市場で行われた。前年の約6倍に上る1万1900キロが上場された。品質は良好だったものの、上場数量増や新茶商戦がまだ高まっていないことなどから、1キロ平均単価は3715円と前年を3548円下回った。
最高値は、JA富士宮が出品した「さえみどり」の手もみ茶で、史上最高値が付いた昨年をさらに1万円上回る1キロ109万円で落札された。
今年は春先の天候が良く生育が前進。1957年に同市場で始まった初取引の中で4番目に早い開催となった。同日は210口の取引が成立した。
同市場の内田行俊社長は「今年は質量共に期待できる。生産者は安心・安全で良質な茶の生産を、茶商は品質に応じた価格での購入をお願いしたい」と呼び掛けた。
2018年04月19日

ブランド保護 JA率先 団体商標 本物の証し偽物に待った
農産物の差別化や知的財産の保護につなげようと、JAグループで地域団体商標登録をする動きが広がっている。福島県JA会津よつばは、アスパラガスを登録し、ブランド化を推進。北海道JA今金町は、粗悪品が同JAブランドとして出回るのを防ぐためにジャガイモを登録。類似品と差別化し権利を守るだけでなく、産地に誇りが生まれ、市場の信頼度が上がるなどの相乗効果も生まれている。(齋藤花)
箱の悪用防ぐ アスパラガス 福島・JA会津よつば
福島県のJA会津よつばは会津地方南部の3町で生産する「会津田島アスパラ」の差別化を図ろうと、地域団体商標に2017年2月に出願し、7月に登録が実現した。
従来の紫、緑、白色のアスパラガスに加え、同JAが開発し紫アスパラを遮光生産して薄付きピンク色に仕立てる「桜アスパラ」も加え、「会津田島アスパラ」として春限定で直売所や町内の飲食店でPRする。
「会津田島アスパラ」の登録は、同JAのブランド「南郷トマト」がきっかけだ。同JAの合併前、旧JA会津みなみは07年に南郷トマトを地域商標登録した。他産地が出荷箱を再利用し、「南郷トマト」として出荷することが数回起きたことがきっかけだ。
商標登録は偽物商品の発生防止に成果を上げ、ブランドの認知度も向上。トマトの年間売り上げは10億円を超える産地に成長した。
同JA田島営農経済センターの佐藤公生センター次長は「ブランド保護と顧客へのPR効果をトマトで経験しており、登録にちゅうちょはなかった」と強調する。
登録には3年を掛けて特許庁や県の知財アドバイザーとやりとりをし、周知度合いを実績として証明するため、メディアに取り上げられた件数や内容を明示した。会津田島アスパラガス部会長を務める湯田重利さん(70)は「ブランド化で、部会にプライドと責任が芽生えた」と胸を張る。
周知に力入れ ジャガイモ 北海道・JA今金町
北海道のJA今金町も、ジャガイモの「今金男しゃく」を今年3月末に登録した。今金町で栽培するでんぷん含有量13・5%の高糖度のジャガイモだ。
同JAは05年に今金男しゃくのロゴを段ボール箱や商品包装に使ってきたが、同じ名称を使った規格外品が市場やインターネットで出回り、消費者から「欠陥品を得た」などと苦情が寄せられた。
そこで、偽物を排除するために地域団体商標に出願。登録の要件を満たすために物産展への出品や車両広告などで周知性を高める工夫もした。
同JAは「今後は、ポテトチップスなどの加工品にも地域団体商標マークを付け、ブランド化のために有効活用する」と計画する。
全部で639件 JAグループで 3割超を登録
特許庁によると地域団体商標登録件数は3月30日現在で639件。JA全中によると、JAグループの登録件数は183件で全体の3割以上を占める。JAグループは第27回JA全国大会で、農業者の所得増大に向けた対策の一つとして、地域団体商標制度の活用に取り組むことを決議している。
JA全中はメリットについて「価格の上昇や売り上げの増加、品質管理の徹底、地域の知名度向上が期待できる。各JAに取得を進めてほしい」(輸出・知財農業推進室)と強調する。
特許庁地域ブランド推進室は「農産物や加工品は、商標登録することで市場での信用や競争力が上がる」と指摘。生産者の組織力も向上し、品質向上や安定につながると利点を強調している。
<ことば> 地域団体商標
地域名と商品名を組み合わせた地域ブランドを保護することを目的とした商標制度で、2006年に施行された。出願はJAなど地域に根差した団体に限る。権利を侵害した場合は10年以下の懲役か1000万円以下の罰金となる。損害賠償請求も可能だ。地理的表示(GI)保護制度は国が監視、取り締まるのに対し、地域団体商標では、自己で監視、権利を行使する。両者を組み合わせて利用することもできる。
2018年04月19日

[活写] 咲かせてみせましょもう “一花”
熊本県宇城市の宮川洋蘭が作る、規格外のランの花を使ったボトルフラワーが人気だ。デンファレやカトレアを乾かしてガラス容器に密封し5年以上、色が保たれるという。
同社は約300種類のランを栽培し、年間およそ20万鉢を出荷する。形が出荷に向かず廃棄していた花を生かそうと、水分が多いランの花を1週間ほどかけて乾かす方法を考案。「森のグラスブーケ」と名付け2013年に売り出した。製作担当の小田美佐登さん(37)は「乾かした花は破けやすく、丁寧に作業している」と話す。
贈り物向けに人気を集め、インターネットなどを通して年間約3万個を販売。1個1500円(税別)から。専務の宮川将人さん(39)は「生花を持ち込めない病院の場合でもお見舞いに役立っている。多くの人に華やぐ気持ちを味わってほしい」と話す。(木村泰之)
2018年04月18日

米国向け牛肉輸出200トン超 低関税枠 早くも突破 4月上旬
2018年の米国向け牛肉輸出量が、4月上旬時点で、日本に設定された低関税枠の200トンを超えたことが17日、米国税関国境保護局のまとめで分かった。今後は12月末まで高関税が課せられる。6月中旬に達成した昨年を上回る異例の早さだ。輸出業者は「今後ペースは若干鈍るが依然引き合いが強く、通年で販売が拡大する」とみる。
2018年04月18日